感想・レビュー
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翔亀
26
所収の「役行者考」を読んだ。国文学者が、修験道の始祖という伝説の人物ではなく、白鴎-奈良時代に生きた役小角とは何者だったか、と問う。その答えは、古代における「亡命者」だと。この時代、国家機能の形成期で戸籍が導入されて、道教(老荘/抱朴子)忌避した律令政府に対し、役小角は意図的に戸籍及び一次的共同体を離脱し、山林に「亡命」したのだという。後に行基がさらに二次的共同体(結社)をつくるに至るが、その先駆として「一つの絶対的な新しさ」を役小角に見出す。国家に対抗する役小角の思想史的意味を説いた刺激的な論文だ。2014/06/14
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