平凡社ライブラリー<br> 新編・中城ふみ子歌集

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平凡社ライブラリー
新編・中城ふみ子歌集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 381p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582765151
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0392

内容説明

戦後歌壇に彗星のごとく現れて消えた中城ふみ子。「短歌研究」編集長時代の中井英夫が一等先に見初めたこの伝説的女流歌人の出現は、現代短歌史上の一大事件として語り継がれている。本書は、中城の苛烈な愛と生が詠いこまれた『乳房喪失』と『花の原型』の二歌集を、その精神の発展史が辿れるよう編み直した新編歌集。中井との濃密な往復書簡も併せて収める。

目次

冬の花火―ある乳癌患者のうた
装飾(仮面;水の如く;風の日;肌の記憶 ほか)
深層(葬ひ花;氷紋;葬りの雪;赤い幻暈 ほか)

著者等紹介

中城ふみ子[ナカジョウフミコ]
1922年11月25日、北海道帯広市生まれ。本名富美子。庁立帯広高等女学校在学中から詩歌に親しむ。42年4月、結婚。47年4月、「新懇」入社。51年1月、「新懇」「山脈」同人となる。この頃から作歌に専念、10月に離婚。52年4月、乳癌により左乳房切断。53年4月、「潮音」入社。54年1月に乳癌再発、札幌医大病院に入院。3月、「凍土」創刊号に「冬の海」発表。4月、「短歌研究」第1回50首詠に1位当選。6月、「短歌」に川端康成推薦により51首発表。7月1日、歌集『乳房喪失』作品社より刊行。8月3日、気道閉塞のため永眠
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

36
敗れたり 「雲80パーセント までは晴れ」 三十路女の 「不幸の確信」/ Hello Fumiko Nakajo, my old friend/ I've come to talk with you again/ 今の僕には、この本しかなかった。 今の僕には、わび・さびよりも、中城の発する「血の熱」の方が好ましく思える。 巻末の菱川善夫の解説も素晴らしい。 中城ふみ子・中井英夫往復書簡は、「中井英夫全集10 黒衣の短歌史」で読んでいるので、今回は割愛した。2020/05/20

更紗蝦

9
乳癌患者であったことがクローズアップされがちな歌人ではありますが、私個人としては闘病に関する作品よりも、朝鮮部落・アイヌ人・混血児・キリスト教・展覧会・演劇・水爆実験に関する作品の方が印象に残りました。歌人に限らず、女性の作家が「女性からの共感を得た女性」という触れ込みで世間に喧伝されるパターンは今も昔もありますが、「女性に共感される女性」を殊更女性の作家の評価のポイントにするのは大抵は男性であり、中城ふみ子自身はそういう日本社会の「男性性」とは本当は距離を置きたかったのでは…?と想像してしまいました。2014/09/06

7
再読。今から60年前、31歳の若さで亡くなった中城の短歌すべてと、彼女を見いだし最期を見送った中井英夫との往復書簡集。やはり「乳房喪失」が群を抜いて素晴らしいが、これは中井が押し通して「冬の花火」を改題したのだと思うと、「乳房なき女の乾物はいか々゛?」と歌った中城の人物像がまた違って見えてくる。さらに往復書簡集を読むと印象は深まるが、これはもう…私など語る言葉を持たないよ。死の床にある中城の思わぬたおやかさ、才気走る歌人を見いだした中井の昂揚が次第に焦燥へと変わりゆくさま。その美しさがただただ哀しい。2013/03/07

田中 綾

3
春芽ふく樹林の枝々くぐりゆきわれは愛する言ひ訳をせず / 中城ふみ子 / 帯広に生まれ、30代の若さで病没した女性歌人。この「われ」は夫と別居中という設定だが、年下の青年との恋の始まりを、林間の清浄な空気の中で宣言している。私は自立した個人なのだから「言ひ訳」などしない、という断言も潔い。「春芽ふく」時季ゆえの生命力が際立ち、没後60年以上を経てもなお、鮮烈に立ち上がってくる歌。(2017年4月15日掲載)2017/04/15

kisibe

2
激しく生きた女性のようだ。往復書簡もすごい。 「わがために命の燃ゆる人もあれ不逞の思ひ誘ふ春の灯」 「冬の皺よせゐる海よ今少し生きて己れの無惨を見んか」 激しい表現が良い。 2018/11/30

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