内容説明
オッペンハイマーを「父」として展開された原子力の開発は、やがて原爆製造へと向かう。そこに参加した科学者たちの行動と思索の跡を克明にたどった、至高のドキュメンタリー。科学者の責任と役割、利害と打算を問うた本書は、その問いが過去のものとしてあるのではなく、21世紀になおも追究されるとき、必読の書として評されるにちがいない。
目次
変転する時代(1918―23)
美わしき歳月(1923―32)
政治との衝突(1932―33)
予期せざる発見(1932―39)
信頼の崩壊(1939)
ヒトラーの原爆への恐怖(1939―42)
研究所、兵営と化す(1942―45)
オッペンハイマー、擡頭す(1939―43)
板ばさみの人間(1943)
科学者狩り(1944―45)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっこ
1
期末レポートの題材として。「こうして最高の良心をもった幾千の個人的行為がより集まって、一種のおそるべき規模の集団非良心を生み出す結果となったのである。」科学者として仕事を遂行しつつも、人の命を数世代もわたり奪う道具を作ってしまったこと。そして、そこに政府が加わることでとうとう歯止めが利かなくなってきたこと。この過程は原子力発電所問題についてもいえるのではないでしょうか。2012/02/01
読書メーターユーザー
0
悪魔的な兵器を作ったのがマトモで人間的な科学者たちだったうえに、日本への投下もこんな感じで決まったのなら責任の所在を決められないな…という感じだった。無力感に襲われるけれど、それでも読むのが止まらない。2017/07/03