平凡社ライブラリー
へたも絵のうち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 228p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784582763256
  • NDC分類 723.1
  • Cコード C0370

内容説明

朝起きて奥さんと碁を打ち昼寝して絵を描いて寝る―。こんな日課がもう何十年も続く。その絵が「天狗の落とし礼」と呼ばれた超俗の画家から紡ぎ出された思い出の数々。やわらかさのなかに鋭く光る、物の核心を見つめる確かな眼差し。

目次

生いたち
絵を志す
美校時代
樺太から郷里へ
二科会時代・戦後

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

84
熊谷守一つけち記念館で見た実際の絵は、画集で見たのっぺらな色の集まりではなく、油絵の刷毛の跡が生々しい色彩の祭典であった。この本はご本人が91歳の時に語った自らの半生。日本経済新聞社に昭和46年6月から1か月連載されたものの書籍化。2000年初版。晩年は、豊島区の自宅から約30年間出ることはなかった。とてもストイックな生き方。ただご本人の語り口はあくまで自然。色紙を頼まれると「無一物」「独楽」「人生無根蔕」「五風十雨」など書いたという。「自分を生かす自然な絵をかけばいい」という考え。しかし解説で谷川徹三⇒2020/08/23

booklight

42
昭和46年の日経新聞「私の履歴書」から。いやぁ、絵だけを見ていると、苦心惨憺の上、70歳を過ぎてから自分のスタイルを見つけた成功した画家、と思っていたらそうでもなかった。ただ、自分なりの人生を生きていたらそうなった、という感じ。しかし過酷。裕福な家で育つが、途中から妾の家で育つ。結婚してからは息子を病で亡くし、実の母からよろしく頼まれた甥っ子も亡くしてしまう。描けと言われても、描けないときは描けない。子供の生死がかかっても描けない。そういう「自分なり」であり「へたも絵のうち」だと、なぜか心打たれる。2023/07/17

キジネコ

36
甲斐性なしで怠け者、器用だけれど独りよがり・・競う事を嫌い我が道を行く。貧窮の底で 妻に苦労させ 子を死なせ 悲しみに身悶えしても、描くことは生きる為の方便ではないと 自戒する。画人の独白、訥々と語られる言葉が 優しくて その笑顔が傍らに見える様だ。芸術とは何だろう?この人に限って言えば ひとり歩きする作品ではなく 移り変わる季節の如き「熊谷守一」その人が開かれた窓、目的かも知れず手段かも、ふと重なる老子。言葉は信じるに足りず、描かれた一本の線の方が ずっと正直だと、才能や技術ではなく経験だと画人は云う。2014/10/03

Thinking_sketch_book

18
★★★★☆ 独特な視点で行きていて、社会の波にものまれずに独自の世界を好んで行きている気がする。こんな風に生きたいなぁ2018/03/11

ドリチン

15
(図書館本)嫁さんのオススメ本。氏の絵は前から少し知っていた。で、この本を読んでみると…何というか「ちゃんとしてない」のである。でも読んでくうちに所謂「ちゃんとしようとする(出来ていないが)」自分がなんか小さいように思えてくる。それに氏の落ち着き様と早くから出来上がっていた達観さよ。そうか、絵はまず『見る』ものなのか。こういう人も居ていいんだ、というのじゃなく、こういう人も居た、という感じ。染みた。この人の絵をもっと見てみよう。2016/10/12

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