平凡社ライブラリー<br> 日本残酷物語〈5〉近代の暗黒

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日本残酷物語〈5〉近代の暗黒

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  • サイズ 文庫判/ページ数 552p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582761122
  • NDC分類 210.04
  • Cコード C0321

内容説明

急激な「近代化」は、その真っ只中に巨大な暗黒を抱えて進んだ。都市のスラム、使い捨ての女工たち、タコ部屋や坑内の過重労働、・私刑・死…その暗黒を生きた人々、忘れられた私たちの隣人の多様な生。

目次

第1章 根こそぎにされた人々
第2章 地のはての記憶
第3章 大地のうめき
第4章 狩りたてられた者

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

37
貧民街のレポートの中の、つながりを失ってしまうと転落は止まらない、という一節が印象的。セーフティネットがまるで貼られていない自由主義経済の極致、戦前近代の日本。まるで「溜め」がないから、小作争議、落盤事故、タコ部屋労働、娘の身売り、一歩何かが起こると文字通り虫けらのように命まで取られる未来が待っている。◇この格差は、戦時経済と高度成長で劇的に改善されて、もちろん今とはまるで違う。でも今読んでいて、昔のこと、と思いきれることはない。つながり、溜めを個人で確保する重要度は、気づくと非常に高まっているのだから。2015/10/12

ndj.

12
5冊目は時代が近いぶん、より「残酷」な印象が強い。本シリーズの成立が1960年前後、その時代背景および執筆者の思想的立場もろもろを考慮したうえでなお、悲惨で、貧しく、救いも出口もないように思える。物質的貧しさは克服しただろう、今日、貧困が問題になっているとはいえこのシリーズに現れた貧困の比ではない。だが、このどん詰まりの貧困の一因でもあった心情的貧しさ、弱者へ、弱者へと向かう搾取の構造、強者に阿り互いを縛りあう心根の弱さ、そうして過剰にすぎる勤勉さ、については果たして、どうだろうか。2018/03/31

ひねもすのたり

10
シリーズ最終巻の本書には「近代の暗黒」とサブタイトルがついています。明治維新から十数年で列強と肩を並べるようになった近代日本。 本書が描き出すのはその急速な発展のからくりです。 当時、基幹産業だった繊維、炭鉱、北洋漁業、北海道開拓。ここで炙りだされる人々の苦難は、近代化というシステムがいかに多くの血と叫びを欲したかの証です。 折りしも本日からドイツで開催される世界遺産委員会は「明治日本の産業革命遺産」を登録する見込みですが、本書が取り上げた名もなき人々の存在を改めて認識する必要があるように思います。★4 2015/06/27

CTC

9
5巻中の5(別巻として現代編2巻があるもこちらは再刊がない)、[近代の暗黒]と副題されている。本巻解説に日本近代史家の成田龍一氏が纏めているが、シリーズの1巻は“人”、2巻は“空間”、3-5巻は“歴史”、にそれぞれ着目して編まれている。氏に云わせれば本編は「民衆史研究前夜の歴史叙述」であると。なるほどタイトルに“物語”とあるように、本編は多分に主観的で叙情的でルポや記録といった形式からは離れている。明治後を対象にする当巻に入って…エグみが直截的に伝わり過ぎて、かなり苦しい読後感。現代編が再刊されない訳だ。2021/12/20

まりん

5
女工、炭鉱夫の苦しみ。全てがフィクションであって欲しいと思うことが全てノンフィクションであることがやるせない。しかし、楽しいこともあったはず。思想系の本と一番異なるのは、彼らの喜びもきちんと描いていることだ。2009/06/10

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