内容説明
明治中期、日本の山々をこよなく愛し、精力的に踏破した英人牧師ウェストン。山村の風俗を、ひらけゆく日本アルプスの姿を、記録にとどめて広く海外に紹介し、宗教的登山一色の山に、近代アルピニズムの新たなうねりを巻き起こした古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
120
2018/6/30 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。 2020/9/1〜9/7 日本にスポーツ登山を根付かせたウェストンが1891年(明治24年)から1914年(大正3年)にかけて、登ったアルプスの山々と、当時の日本の風俗を描いた古典的名著。今のように登山道や山小屋が無い時代の山の様子や、人々の暮らしが克明に描かれていて、大変興味深い。上高地のウェストンのレリーフは見たことがあるが、今度行った時はじっくり見ながら当時に思いを馳せたい。2020/09/07
Shoji
44
明治二十年代、著者が日本アルプス登山を通して感じた、大自然に対する畏怖、土地に暮らす人々への尊敬、信仰や民俗へのリスペクトが書かれています。明治の初めは登山という概念がなく、山へ入るのは、軍の活動、鉱物採取、狩猟、信仰といった理由に他ならなかったようです。そんな時代に、急峻で知られる日本アルプスに登り、その活動を紀行文として叙述しています。今と違って、ゴアテックスや吸湿発熱繊維はなく、GPSはもちろん、マイクロストーブもない時代、相当なご苦労をなさったと思います。しみじみと読みました。良書だと思います。2019/01/01
huchang
6
英国の外交官僚アーネスト・サトウなどの明治期の英国人が書いた本つながりで。現在も日本アルプス山系は遭難事故があり、当時の苦労は如何ばかりかと思う。隙あらばサボり、無理だと思ったらもうアンタらだけで行きぃやとばかりにキセル吸う今で言うシェルパは、勤勉でも真面目でもない日本の人たちの当時の雰囲気が出ていて、山の本でなくても面白い。こんなのがいいんだよ、こんなのが。高級な宿ほど臭うって記述、畳かな?表替えしたあとの畳の匂い、クサいっていう子ども実際にいたしなあ。2024/03/12
100名山
4
今の山しか知らない私には難解でした。穂高には明神東陵から登ったの?と考えてしまいます。「日本アルプスー登山と探検 研究」が出てもおかしくない。 とりあえずウェストンが著者の翻訳本はすべて読んでみようと思います。 ヒマラヤ遠征隊とシェルパの対立つみたいなことが起きているのが面白い。 民族誌としても一級品だと思います。2017/11/09
LOHASPO
3
信州の子供が一番最初に覚える横文字の名前がウォルターウェストンと言っても過言ではないほど地元には彼の石碑が多いんですが、著作は今回初めて読みました。古い本なので山岳に関する情報に目新しさはないけれど、当時の地方の暮らしぶりを知る意味では貴重な情報が多く民俗学的におもろい本な気がしてます。ただし...なんつうか機械翻訳の様な直訳表現が多く、逆に飛ばし読みした方が頭に残るんじゃないでしょうか...2012/05/16