内容説明
詩人の指はパンドラの甕に触れ、足どりは大地の臍に及び、想像力はエロスの翼に見紛う、きわめて長い視線のもとに世界を眺めわたす楽しみに満ちた、清閑・典雅な古代神話随想、詩作、紀行を併載。
目次
1 神々の指紋(パンドラの甕;棄児の栄光;大地の臍;アキレウスの楯;三重の女神たち;キュベレのローマ入城;エロスの翼 ほか)
2 旅のメモから(アルカディアの春;クレタのゼウス;花のペロポンネソス;アカントス異聞;エジプトの旅;蜃気楼の国にて ほか)
3 神話散策(葡萄と蜜と;風の塔をめぐって;琴のひびき;穢れを祓う人々;サルペドンの死;ヴィーナスの失恋 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
10
ヘレニスト、大いに翔ける…と言った印象。その栄華を、その美しさを、その壮大さを、その不確かさを物語る魅惑の痕跡…そこかしこ、無数に、多様な姿で散在する痕跡の内より幾つか、選び、掬い上げ、つぶさに触れては。優雅に、それも至極楽しそうに舞う。熱を、喜びを帯びた言葉の、調べの、快い事。広々と開放的な、どこまでも続く、悠久の広がりにも似た、その詩の。快い事。此方もまた語り手の至福に導かれ、いずれも容易に、国を越え、時代を越え、自在に飛翔し、四方よりかの世界を眺め、その深遠さ、その豊饒さを感じる、贅沢な時を過ごす。2017/08/30
うた
5
『ハドリアヌス帝の回想』の名訳者の手になる古代ギリシアをめぐるエッセイ集。東西の古典に通じ理知的でありながら、しっとりとして官能的である。表題作もさることながら、「アカントス異聞」「エル・ファイユームの籠」「葡萄と蜜と」「風の塔をめぐって」なども素晴らしい。うっとりである。2013/08/19
rinakko
3
素敵…。ねぶねぶと読み返したい。2014/02/28
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