内容説明
本書には、西洋と日本を代表する有名な童話・昔話が三十八話収録されています。ただし、みなさんがかつて読んだり聞いたりした話とは、かなり違ったストーリーになっています。それらの話がつくられた当時は、いま伝わっているような、ほのぼのと暖かな世界ではなく、かなり残酷な物語だったのです。有名な童話の原典が、なぜそんなにも残酷であったのかを考えながら、物語を再現していきましょう。
目次
第１章 戦慄のグリム童話
第２章 罪深きお姫様たち
第３章 物の怪たちの悪巧み（日本の昔話より）
第４章 動物たちの復讐劇
第５章 運命の残酷ないたずら（日本の昔話より）
第６章 欲にまみれた人間たち（日本の昔話より）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
51
おしなべて童話と、寓話には、すべからく教訓というものが含まれている。そしてほとんどの物語は、実話を基にしているので、中には残酷なものが多い。しかし、時間を経るにしたがって、教訓的な要素が強まっていき、残酷さが薄れていくのだと思う。本作に掲載されているグリム童話や、日本の昔話も例外に漏れることなく、きわめて教訓めいている話が数多く収録されている。そのため元ネタが良さ（怖さ）が薄れている気がする。しかし、グリム童話と日本の童話を同列に語ってしまうのは、如何なものか。どうせなら分けて欲しかった。2015/08/03
saga
31
【再読】カバー裏に刻印された出版年次は1999年。多分その頃に書名に惹かれて購入したものと思われる。しかし、再読して驚いたのは、本書の監修があの三浦しをん嬢の父上だったこと。「本当は怖い○○童話」のような本の嚆矢なのではなかろうか。和洋の童話・昔話の原典に書かれた残酷さ、汚物にまみれた汚らしさ、人間の陰湿さを楽しめた。2018/06/23
carl
13
大体概略をどこかで読んだ聞いた感じの内容だったが、やっぱり童話は残酷だ。子供時代に知らなくてよかった。こんな怖い話作ってどうするつもだったんだろうが未だに納得できない感じが残ります。2017/05/11
こよみ
10
後半からは日本の昔話 何で童話は末っ子がピンチを切り抜けたり賢かったりするんでしょ2012/12/30
いい日
8
中学の頃、「本当は残酷だった童話」ブームがあって、友達の女の子から借りた本。なつかしくてまた読み返してしまいました。当時は文庫じゃなかったですけど。これは読みやすくて好きです。そして、本質突いてますよね。童話に限らず、人生のある局面というのはものすごく残酷だったりしますが、人はそれを隠蔽しようとしますし、お話のうえではさらにその傾向が強くなります。寺山修司じゃないですけど、「美しすぎる童話を見すぎたら現実に復讐される」んです。表現に薬が効きすぎていたら、ひ弱な人間を量産するんじゃないかと思います。2010/10/17
