感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
57
三十数年ぶりの再読。終戦直後という時代背景、旧習にとらわれた農村の大地主という舞台設定が見事にトリックを支えている名作。カー、ドイル、ミルン、クリスティなどの影響が読み取れますが、こうした先行作品の要素を絶妙にブレンドし、日本ならではのオリジナリティ溢れる作品に仕上げた氏の手腕に舌を巻きました。金田一耕助自身に「機械的トリックはどうも感心しませんね」と語らせている遊び心も面白い!金田一も吃りが酷いうえ、周りの人が驚愕して吃ると、「あははははは、みんな真似をしやがる」って、こんな変人だったんですね…。2014/10/17
MATHILDA&LEON
34
金田一耕助、第1作目。著者の作品は実は初めてで、どういうものなのか全く知らずにいた。読んでみてすぐに後悔した。何故もっと早くに読まなかったんだ!と。最近のミステリー小説しか読んでこなかったから、余計に衝撃的だった。物語は恐ろしくぞわぞわするが、主人公である金田一耕助が明るく晴れ晴れとしたキャラであるために、重苦しくならない。222ページと長くないので一気に読め、密室トリックも最高。これからシリーズを読んでいけたらいいな。2018/05/09
ほぼ一日一麺
19
に、に、20数年振りに再読。先日有吉の番組で金田一耕助の最後を意外と知らない、とかやってて、それきっかけ。映像も観たこと有りどちらかと言えばそちらの方がかなり記憶に残っていて、補完しながら改めて新鮮に読めた。そ、その昔、横溝正史の本は表紙絵の大概がオドロオドロしく、キモくて生理的に受け付けなかったが、この双葉社のはキモくないので手に取ったという過去がある。こ、こ、この一作しか金田一を読んでなかったので、ほ、ほ、ほかにもいくつか読んでみようと思った。「あははは、一麺さん、僕の真似をしなくてもいいんですよ。」2019/02/18
ころも
7
シリーズ長編初読み。結論から書くと、気に入った。最大の魅力はやはり金田一耕介というキャラクターだろう。語り手からは神経症的なものに対し理解のある眼差しを感じたが、なるほど作者もその傾向をもった人だったのだな。大いなる親近感を得た。耕さん、例のものを包んだ風呂敷を普通の顔でぶらさげて歩いちゃう系男子だった。興奮するポイントのズレも面白い。年齢に関してはこの時点では25、6歳という設定なのか、案外若いのかな。▼いわゆる犯罪心理学と呼ばれるのであろう、ともすれば理解されがたい複雑な精神構造の分析も興味深かった。2019/09/16
S.Y
6
物語全般がおどろおどろしい雰囲気に包まれており、金田一耕助が初めて登場する作品。トリックの部分は、文字だけでは少しわかりにくかったものの、面白くて一気に読んでしまう。76点2016/07/03