双葉文庫
晩鐘〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 698p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784575510102
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

話題作『風紋』続編!心に癒しがたい傷を負った人々の物語。

著者等紹介

乃南アサ[ノナミアサ]
1960年、東京生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務などを経て作家生活に入る。1988年、『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作に選ばれる。1996年、『凍える牙』で第115回直木賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobby

108
読み終わっての感想は、ただラストでのやるせなさに打ちひしがれるのみ…被害者そして加害者双方の家族の苦悩を描く中で、たまたま哀しい対象に選ばれたのが彼であっただけのこと…一方が救われ上向いていく様が明確なだけに、他方の落ちていく惨めさがたまらない。これがまさに消えない恨みの為せる技か…同学年の2人、俊平と大輔を正反対の結果に導くとは何て残酷なことか…彼の悪ぶれた言動や思惑が周囲の冷遇や嫌煙から生じているのに加え、その理由を知らされていないのが切ない…そして真実を知った故に存在を憂う気持ちとはいかなるものか…2018/07/17

tengen

62
あの荒れ狂っていた姉は結婚し2児の母、父は再婚の上、子どもまで。 なぜ私一人だけが苦しむのか、被害者の末娘・真裕子は孤独と不安に苛まれ不倫の道へ。 「やはりわたしはあの母の子なのだ。」 長崎で暮らす加害者松永の子ども大輔と絵里。 両親のいない大輔は良い子の体面を保ちながらも心が荒んでゆく。 子を省みない母を知り、大人たちが語らない秘密を追い求める。 そして真実に触れて知ることに。「自分には殺人者の血が流れているのだ」 建部に救われる真裕子と誰にも救われない大輔。 それぞれのエピローグが待ち受けていた。2015/04/23

Qちゃん

60
切ない、悲しい…深い深いため息が出た。どっぷりと浸かって読んだ。心理描写は、さすが乃南アサさん!と思いながらも夢中になって読んでいた。読み応えたっぷりです。風紋→晩鐘とお勧めです!!2018/02/21

Tsuyoshi

59
下巻読了。心理描写が秀逸なだけに重厚ながらスラスラ読めた。理解あるパートナーを得た事で事件に折り合いをつけ、止まった時間を進めようとする真裕子に対し「人殺しの子」として自分を追い込み妹の殺害という更なる悲劇にて終止符を打つ大輔と双方に明暗がくっきりと別れる展開。双方とも当事者以上に事件に対する悲しみや憎しみ等ダメージを受けるなかで心から受け止めてくれる者の存在が如何に大事が思い知らされる。2017/08/29

reo

50
大輔は塾の窓を何気なく眺める。窓に映る自分を見てこう思う「こちらの僕が居て、あちらにも僕が居る。あちらの僕はこちらの僕に似ている。でもこちらの僕ではない。あちらにももうひとつの世界があるのだろうか。こちらの世界は、父親も母親も絵里も叔父も叔母も従兄弟も、全部が不良品だ。そして同じく不良品の僕ももうすぐきっと悪いことをする。大きくなったらもっと悪いことをするに違いない。プログラムが間違っているのだから」と。そして大輔はあることを選択する。ここでやっと風紋から続く長い長い連鎖の物語が幕を閉じる。読み応えあり。2017/09/27

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