内容説明
フィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも他人より損をする道を選ぶことに決めた「私」と、ダイナマイト・ボディ(?)の秘書が巻き込まれた殺人事件。タフさと優しさを秘めたハードボイルド小説の傑作。
著者等紹介
荻原浩[オギワラヒロシ]
1956年、埼玉県生まれ。1997年、『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞、作家デビュー
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感想・レビュー
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しんたろー
184
題名から想像つく通り、ハードボイルド・パロディが荻原節で綴られている…比喩を多用したハードボイルド口調で前半はテンポが悪いのは初期作品ゆえか?しかし、綾ばあちゃんが活躍し出してからは事件が動き出すのも相まって俄然面白くなった。(「フィリップ・マーロウ」⇒「へりくつマー坊」には爆笑!)主人公の最上の思考や行動も、若い頃にチャンドラーの薫陶を受けた私には懐かしいような恥ずかしいような気持ちで嬉しかった。サスペンスとしてはソコソコだが、可笑しくて切ない名脇役を産み出した才能が現在の活躍に通じていると思えた。 2018/09/18
ehirano1
170
主人公はハードボイルドのつもりですがまだまだソフトボイルド。本人もそれは分かっているようです。受注の仕事は行方不明の動物捜しばかりですが、背に腹はかえられないのか直向きにこなす姿が微笑ましいです。そして仕事のモチベーションを支えるのがF.マーロウの言説。こういう何かしらの“拠り所”を持っている人っていうのは常に前向きなので少々のことではへこたれないし立ち直りも早いですよね。さて、当方の“拠り所”は何だろうかと改めて自問しています。2017/09/17
美登利
115
面白かったよ!荻原浩さんの初期の作品。ユーモア溢れる探偵小説です。ハードボイルド海外作品は読んだことないけれど、若かりし頃を思い出します。かなりマヌケで空回りしてる主人公と美人秘書?の2人のコンビが板に付いてくるに連れて楽しくなりました。ストーリーはドラマや映画にもなりそうで現実ばなれしていないところがまた良いと思います。派手な演出はなくとも悲しい怒り、やり場のない憤りなどは現実にたくさんあるものだから。続編があるらしい!読もう。2017/07/25
takaC
110
教本的だけどそこが良い。好い。2014/08/07
sk4
98
「小柄で華奢なのですが胸だけは大きいのです」「おめでとう。あなたに決定だ。明日から来ていただけますか」 水着を引き裂かんばかりに張り出した胸と蜂の胴のように細いウエストを持つ秘書を得て、私立探偵最上俊平は街を駆け抜ける・・・はずだったw 結局最後は、【名前は小柄なんだが態度の大きい相棒】ができて、綾の墓前で固茹で玉子を食べる。 途中から俊平が綾のことを「綾」と呼び捨てにするところが良かった。読まないと分かんないだろ〜な〜w2013/02/23