出版社内容情報
『この世界の片隅に』製作委員会[コノセカイノカタスミニ セイサクイインカイ]
著・文・その他
内容説明
くらしの中にある、よろこび、たのしみ、いとなみ。そして、日常に戦争が不穏な影を落とす…。昭和20年、広島・呉。わたしはここで生きている。「映画の設計図」である絵コンテを、片渕須直監督の解説付きで収録。劇場アニメ「この世界の片隅に」の演出の全てがここにある。
目次
Aパート
Bパート
Cパート
Dパート
Eパート
Fパート
片渕須直監督による絵コンテ解説
片渕須直監督インタビュー
作品データ
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
75
映画『この世界の片隅に』の絵コンテ集。昨年11月に観賞してまだ熱が冷めない。正直、私はアニメが好きではなかったのだが、この映画でその思いを改めさせられた。「神は細部に宿り給う」の実例であろう。広島県を舞台にして、本当に実際の呉市や広島市を体感する様なシーンが数々あった。戦中の話であるのに。この絵コンテにしても、こうの史代が描いた訳ではないのに、ラフな絵がどれも見事なこうのタッチである。アクションの説明で見落していたものを知る。横のダイアログを読むと、のん達声優の声を思い出す。ああ、もう1回観たいなぁ。2017/02/07
as
7
あっ、映画を見る前に読んでしまった!悲しくてやりきれない♪2017/01/27
Y_Michiari
7
"第一に自分達が「すずさん」という人物が存在していたかのように思い込む事が必要だと考えたわけです。" 庵野秀明のキャラクター造形である、記号の丸投げではない、実存としてのキャラクターを突き詰めているなと感じました。『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』についても、キャラクターが包含する人生哲学を、アニメーションとして見せる。これは中々丁寧な造形だな…勉強になりました。2017/01/24
allite510@Lamb & Wool
7
全体にほのぼのとした展開と感じさせながら、ちょっとした演技や小道具にも重層的な意味を持たせられた、異常に情報量の多い映画なので、瞬間瞬間に流れていってしまう感情をしみじみ味わい、演出意図を探るのには、絵コンテを読むというのは有効だったと思う。さりげない小道具を扱う描写が、繊細に周到に登場人物の隠された意志や感情表現につながっている。驚くほど感情をゆさぶられた理由をおぼろげながら理解できたように思う。2016/12/26
サンセット
5
物語の展開、伏線、演出、時代考証、演技など、原作漫画に依る所も大きいが、指定がとても細かく書かれていて、原作+αの完成度と言われる所以を感じた。背景や小道具が映ればそれは何なのか、人が動けばどう演技をさせるか、きちんと言語化した説明が書かれている。空襲シーンの描き込みは圧巻で、日時はいつか、敵と味方の戦力は何か、飛行機の高度や天候や戦法に至るまで細かな説明がある。今までにも他作品の絵コンテを読んだ経験はあるが、本書と比べれば感覚的に描かれていたと感じる。一方で、本書はまさしく設計図のような印象を受けた。2017/05/07