内容説明
「義八郎商店街」は、とある街のとある商店街。幾多の荒波をくぐり抜けてきたこの商店街が今日もまたにぎやかに目を覚ます―。心正しき店主たちと心優しきホームレスのものがたり。
著者等紹介
東直己[アズマナオミ]
1956年札幌生まれ。北海道大学文学部哲学科中退。土木作業員、ポスター貼り、タウン雑誌編集者などを経て、92年『探偵はバーにいる』でデビュー。2001年『残光』で第54回日本推理作家協会賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
84
ラストは切なすぎるよーと思ったけど、これが人間の世界なんだよなぁとしぶしぶ納得。そういうことだったのか…と細かい顛末がわかると商店街という人情味溢れる場所がどんどん減っていくことが忍びなくなる。座敷わらしはみなを幸せに導く。神様でもめでたしめでたしにはできないこともあるんだよね…。前からこの本は気になっていたけど表紙の絵で手に取るのをためらっていた。違う絵だったらもっと早く読んだかも。2014/03/12
だんたろう
27
不思議なファンタジーに現代社会の風刺も効かせて、いろんな味のある作品になっている。お年寄りが元気なのは嬉しいし、神様は存在してほしい。正義が全て正しいわけではないし、善意の行き着く先の悪意ほどやっかいなものはない。全て自分の目で見て、判断することが大事だと訴えている。ラストは切なくて、諸行無常を感じて辛い。2014/04/28
Carlos
6
前半はかなり面白かったけど、途中からファンタジー色が強くなった。結末は自分的には微妙だな。2013/08/28
びすけっと
5
2005年2月刊。初出 小説推理。読友さんつながりで東さんは初読み。 前半の「街角の恋」までのワンパターンがドラマのようで良くて、楽しめました。どの節から読んでも分かるようになっていましたし。いつかは終わらねばならないものなので、不思議なホームレス義八の姿があかされるのは仕方がないが、ん~、そこでエンドだったかなあ。怪しいFM局が出てきたあたりは楽しめるけれど、前半のような水戸黄門型のおもしろみが無くなってしまいました。2014/05/11
Koike Katsuya
5
東直己は現実に起こった事件や汚職を物語に取り込んで、社会風刺的な事をよくやる。この本でもあやしいNPOを引き合いに出して、「地獄への道は善意で敷き詰められている」という現実を風刺している。2014/03/14