分岐点

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  • サイズ B6判/ページ数 363p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575234572
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

13歳の皇国民「自分の意思で殺した。後悔はしていない」ミステリー史上、稀にみるその殺害動機。鮮烈に胸を打つ、衝撃の結末。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クリママ

25
終戦直前の夏、米軍の本土上陸に備えての陣地作りに動員された13歳の中学生たちの物語である。少尉、伍長、中学生、それぞれに思うところは違う。それぞれの来し方を考えれば違って当然のことだが、それが、敗戦濃厚な極限の状況の中でぶつかりあう。鬼畜米英とは、新聞が作った言葉であったとか。明晰な頭脳、秀でた能力を持ちながらも、純粋であるが故の思い込み。読後は重い。悪役とされてしまう伍長にも守るべき家族のいることが記されていること、そして、最後の手紙の文末が、物語により一層の厚みを加えているように思う。2016/09/15

おかだ

15
再読。8月になると読みたくなる古処誠二。敗戦の年の8月を舞台にしたミステリー作品。戦争って恐ろしい!という事を、物理的な方向から描写するんじゃなくて、すごく精神的な方向から責めあげていったような小説。戦争で人の思想はここまでいびつになるのだ、という事実にゾッとする。成瀬くんは間違っている。でも成瀬くんの間違いをどこまでも肯定してきた戦争の方がもっともっと間違っている。ミステリ史上初の動機…う~ん、確かに。気高く、理不尽で、盲信的で、悲しい動機。日本には確かにこんな時代があったのだと、忘れてはいけない。2015/08/11

ゆき

4
★★★☆☆:終戦間近、勤労動員として駆り出された中学生が上官を殺害する。突然の凶行に「なぜ」とその動機が知りたくて読み進むが、綴られているのは狂気にも似た盲従と憎悪ばかりで気が重くなった。同じ言語で話しているはずなのに、まるで意思の疎通ができない異星人のように遠く離れてしまった成瀬が悲しい。2015/02/11

聖月

2
△動機である。少年が兵隊を殺害した動機である。最後にその動機が明らかになるのだが、動機にならないのである。これが動機ですと作者は提示するのだが、その動機でそういう行動に何故なるのか、評者にはチンプンカンプンなのである。動機は大事なのである。特にこういうミステリー性を持った作品においては。文学の世界では、太陽がまぶしかったからという動機でカミュは『異邦人』の中で殺人を描いたが、あの手の作品はああいう動機もまた神秘的でよろし。なんか深いじゃんこの作品、的な意味においてOKなのである。しかし、ミステリーを書いて2003/07/21

たんたん(休みます)

1
2003年12月11日 1945年、学業は停止され少年たちも学徒動員に借り出される。13歳の少年たちは何を思い生きていたのだろうか?大切な者のために殺意を抱く対馬…。自分の信念のために殺意を抱く成瀬…。成瀬の手紙の「少し気になるよ」がとても印象深くて、本当は誰よりも純粋な子なのではないかと思った。純粋だからこそその時代に染まったのでは、洗脳されたのではないか。2005/01/01

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