内容説明
闇市とは結局、何だったのか。私は解放区だと考えている。闇市においては国籍、階級、身分、出身、学歴等は一切問われなかった。華族もヤクザも軍人も被差別窮民も解放国民も同格であり、路上に一枚のゴザを敷いて貧しい品物を売っていた。
目次
闇市解放区ことはじめ
闇市ファッション
闇の中の生活
上野・アメ横
“証言”の宝庫=カストリ雑誌
焼跡で声を枯らした“民主選挙”
闇市に「リンゴの歌」流れて
焼跡ギャンブル時代
生贄にされた七万人の娘たち
闇の女たち〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sk4
39
【破壊と再生】という、エポックをプロデュースするプロトコルがあるが、終末論に怯えて核のボタンにいつも手をかけていたり札束を積み上げた壁の内側に引きこもるチキン野郎どもに見せてやりたい。 世界は終わらない。 再生したモノがいびつだったとしても仕方ないじゃない。再び瓦礫になったってしょうがないじゃない。 太古の地層から昔誰かが愛を誓ったリングが出てきたらどう思う? 世界は終わらないんです。2013/07/24
午後
2
敗戦後の焼跡から始まり、現在の都市の原型や、アメリカ文化と民衆との接点を作ったとも言える闇市。闇市の出店者や売られていたもの、ヤクザや解放窮民との関係、カストリ雑誌の消長、国を挙げて組織された売春組織RAAの顛末など、敗戦後の政治や文化状況をめぐる様々なテーマが取り上げられている。2022/01/22
Eu
0
終戦直後の意味わからん状況でどんな日常があったのか。いろんな視点からの証言がおもろい。ファッション、カストリ、残飯雑炊、演芸、賭け事、性、政、生。日本のアングラ文化の重厚感が垣間見れる。 焼け野原の東京で、何はともあれ人々を「食わせた」のがまずヤクザの親分だったのがおもしろい。1.17の震災のとき、ほかの何よりも早く救援活動をはじめたのも地元の山口組だった。そこからどういう評価を導き出すかは人それぞれだろうけど。2018/07/03