出版社内容情報
――己のために行なったことはみな、己の命とともに消え失せる。(中略)わが身のためだけに用いれば、人の命ほど儚く、むなしいものはない。されどそれを他人のために用いれば、己の生には万金にも値する意味が生じよう。(本文より抜粋)
時は天平――。
藤原氏が設立した施薬院の仕事に、嫌気が差していた若き官人・蜂田名代だったが、高熱が続いた後、突如熱が下がる不思議な病が次々と発生。
それこそが、都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせる“疫神(天然痘)”の前兆であった。
我が身を顧みず、治療に当たる医師たち。しかし混乱に乗じて、病に効くというお札を民に売りつける者も現われて……。
第158回直木賞と第39回吉川英治文学新人賞にWノミネートされた、「天平のパンデミック」を舞台に人間の業を描き切った傑作長編。
解説:安部龍太郎
内容説明
藤原氏が設立した施薬院の仕事に、嫌気が差していた若き官人・蜂田名代だったが、高熱が続いた後、突如熱が下がる不思議な病が次々と発生。それこそが、都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせる“疫神(天然痘)”の前兆であった。我が身を顧みず、治療に当たる医師たち。しかし混乱に乗じて、お札を民に売りつける者も現われて…。第一五八回直木賞にもノミネートされた、「天平のパンデミック」を舞台に人間の業を描き切った傑作長編。直木賞&吉川英治文学新人賞ダブルノミネート作品。
著者等紹介
澤田瞳子[サワダトウコ]
1977年、京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院前期博士課程修了。2010年、『孤鷹の天』で小説家デビュー。11年、同作で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。12年、『満つる月の如し 仏師・定朝』で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞、13年、第32回新田次郎文学賞受賞。16年、『若冲』で第9回親鸞賞受賞。『火定』は第158回直木賞及び第39回吉川英治文学新人賞の候補となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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