PHP文庫<br> 不幸論

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PHP文庫
不幸論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 216p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784569762937
  • NDC分類 151.6
  • Cコード C0110

出版社内容情報

どんな人生も不幸である。幸福とは真実を隠蔽した思い込みに過ぎない――自分自身の人生を生ききるために、切れ味鋭い驚異の哲学論。

【著者紹介】
哲学者

内容説明

世に蔓延する「幸福でありたい症候群」。その幸福感は、「死」の存在や世界の不条理から目をそむけることで支えられている。著者は、長年の哲学的考察のはてに「あらゆる人生は不幸である」という結論に辿りつく。この真実を自覚し、自分固有の欲望と向きあったほうが、「よく生きる」ことになるのではないか。古今東西にあふれる「幸福論」と、その信者たちの自己欺瞞を鋭く指摘した、誰も書かなかった「不幸」の哲学。

目次

第1章 幸福のための条件
第2章 さまざまな幸福論
第3章 幸福がもたらす害悪
第4章 相対的不幸の諸相
第5章 「死」という絶対的不幸
第6章 自分自身の不幸を生きる

著者等紹介

中島義道[ナカジマヨシミチ]
哲学者。1946年、福岡県生まれ。元電気通信大学教授。現在は「哲学塾カント」を主宰。東京大学教養学部並びに法学部を卒業。77年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。83年、ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了。哲学修士。専門は時間論、自我論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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団塊シニア

58
世間に迎合して自分の信念を曲げたくないという作者、一般の幸福論を真っ向から否定してるが後半の部分にこんな一節が印象的である、「私は幸福を感じることを恐れる、なぜなら私が幸福を感じたその瞬間に恐ろしくなるからである」本書を読むと作者自身不幸であることを強調していながら根底には幸福にたいする強いこわりがあることが理解できる。2015/05/21

sasara

19
飛行機に乗る時は必ず堕ちるだろうと期待して乗り込む哲学博士による理想な幸福は幻想に過ぎない自身が死ねかぎり幸福はないので他人評価より自分本位に生きることを勧める。アラン「幸福論」幸福は天からは決して降ってこないの裏表かも。 著書はこの手の本を多数出版し国立大学教授で世間的には成功し幸せだろうと想われているが(笑)2021/07/31

金吾

14
著者の考え方は好きですが、この本はこんな考えもあるねえというくらいでした。所々面白いですが全体としてはやや冗長かなと感じました。死ぬ限り、いかなる形でも幸福はないという考えや不平を言いながらも正確に計算して賞賛される要素をよく見える形で隠しておくという発言は成る程と思いました。2020/09/10

テツ

12
「自分は今幸福である」という思い込みは根拠のない盲信であるんだろうなと思う。思考することに怠惰になり『幸福とは何か』『人生とは本当に幸福なものなのか』ということについて考えることを放棄しなければそこに留まることはできない。どんなに生きても最期には死に絡め取られること。人生は不条理で自分の力ではどうしようもないことで構成されていること。その根本を直視することから逃避して「自分は幸福である」という思い込みに逃げるよりも幸福を感じることなく世界の在り方、自分の在り方について考え続ける人生こそが誠実なんだろう。2015/05/31

はる

5
世の多くの人は幸福になりたいと願い、それを比較的簡単に手に入れることができると信じている。幸福論には、そういう人々に迎合する怠惰な響きがある。すべての人の欲望、感受性、趣味嗜好、信念は一致するというなんの根拠もない想定のうえにあぐらをかいて、他人を幸福にすることの果てしない難しさを直視しようとしない。自分がいつでも不幸であることを自覚するとは、醜いこと、理不尽なこと、偶然的なこと、不可解なことに蓋をしたり、無理に納得しようとしたりせずに、そのままそれらを承認することである。2019/06/23

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