出版社内容情報
日本と朝鮮――敵として出会った二人の人生が交錯した時、熱きドラマが! 気鋭の歴史作家が、文禄・慶長の役を真正面から描いた力作。
【著者紹介】
作家
内容説明
文禄・慶長の役―。日本軍の先陣・加藤清正の鉄砲隊をあずかる佐屋嘉兵衛忠善と、朝鮮の北辺・咸鏡道の役人である金宦。日本軍が破竹の進撃を続ける中、他国を侵す戦いに疑問を抱き始めていた嘉兵衛と、都を落ちのびて咸鏡道にきていた王子を守る金宦があいまみえる。嘉兵衛と金宦、二人の人生が交錯する時、戦場に奇跡が…。日本と朝鮮、戦う男たちの間に何があったのか。著者渾身の戦国大河小説。
著者等紹介
伊東潤[イトウジュン]
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。外資系企業に長らく勤務後、文筆業に転じ、歴史小説や歴史に材を取った作品を発表している。『国を蹴った男』(講談社)で吉川英治文学新人賞を、『黒南風の海』で「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」を、『義烈千秋天狗党西へ』(新潮社)で歴史時代作家クラブ賞(作品賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レアル
58
朝鮮の役を読みたくて手に取る。「異聞」との断りなので、どこまで史実なのか分からないが、その詳細な侵攻と戦いを巻頭に付いている地図を確認しながら読んだ。読んで気づいた事がある。この「朝鮮の役」を描いた作品が少ないのは、まだはっきりと分かりきっていない部分もあるが、きっと結末に明るさや幸せといったものを持ってくるのが難しいからではないか。この物語もそういった部類の物語だ。そして「文禄・慶長の役」を軸に描かれた数奇な運命に翻弄された2人の生き方も悲哀ながら胸を打つ。2017/12/06
ちゃま坊
23
飯嶋和一「星夜航行」で朝鮮出兵が気になった。日本と朝鮮の関係がうまくない今、ちょっと気になる歴史。加藤清正と小西行長の対比は後の関ケ原につながるのだろうか。降倭と附逆という言葉を覚えた。敵が味方となり味方が敵となる。日本軍、朝鮮軍、明国軍の3ヶ国が関係した戦だが、戦場となった朝鮮の民が一番の被害者か。2019/10/14
ウィズ
23
やっぱりどんなことがあっても、戦争はいかんと思いました。2014/01/04
ひろ
21
「文禄・慶長の役」という難しいテーマをよくぞ描いてくれた、というのが第一声。大義名分もないまま異国の地で戦わなければならない武将たちの苦難は想像を絶するものがあるが、嘉兵衛と金宦という立場の異なる二人が祖国を捨てて民のために生きる決意が美しく、物語を際立たせている。秀吉の命に逆らえない中で、戦を丸く収めようと奔走する加藤清正にも好感が持てた。侵略戦争がいかに人を不幸にするか、日本の歴史が犯した過ちを見つめ直す意味でも深い一冊だと思う。 2015/04/11
金吾
20
朝鮮の役はあまり小説になっていない題材ですので興味をもって読むことができました。戦争の悲惨さややるせなさが伝わります。善玉・悪玉がはっきりしていますが、小説なのでそれもまたよしと感じました。2021/05/20