利休にたずねよ

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  • サイズ B6判/ページ数 418p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784569702766
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

★第140回直木賞受賞作。
美に一生をささげた男・千利休の鮮烈なる生涯。
己れの美学だけで天下人・秀吉と対峙した男・千利休。茶聖ではなく、人間利休に心魅かれる著者が、その謎に包まれた生涯を解き明かす。

飛び抜けた美的センスを持ち、刀の抜き身のごとき鋭さを感じさせる若者が恋に落ちた。堺の魚屋の息子・千与四郎――。後に茶の湯を大成した男・千利休である。女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、気に入られ、天下一の茶頭に昇り詰めていく。利休は一茶人にとどまらず、秀吉の参謀としてその力を如何なく発揮。秀吉の天下取りを強力に後押しした。しかし、その鋭さゆえに、やがて対立。秀吉に嫌われ、切腹を命ぜられる。

▼本書は、利休好みの水指を見て、そのふくよかさに驚き、侘び茶人という一般的解釈に疑問を感じた著者が、利休の研ぎ澄まされた感性、色艶のある世界を生み出した背景に何があったのかに迫った長編歴史小説である。

●死を賜る 利休 
●おごりをきわめ 秀吉 
●知るも知らぬも 細川忠興 
●大徳寺破却 古溪宗陳 
●ひょうげもの也 古田織部 
●木守 徳川家康 
●狂言の袴 石田三成 
●鳥籠の水入れ ヴァリニャーノ 
●うたかた 利休 
●ことしかぎりの 宗恩 
●こうらいの関白 利休 
●野菊 秀吉 
●西ヲ東ト 山上宗二 
●三毒の焔 古溪宗陳 
●北野大茶会 利休 
●ふすべ茶の湯 秀吉 
●黄金の茶室 利休 
●白い手 あめや長次郎 
●待つ 千宗易 
●名物狩り 織田信長 
●もうひとりの女 たえ 
●紹?の招き 武野紹? 
●恋 千与四郎 
●夢のあとさき 宗恩

内容説明

おのれの美学だけで天下人・秀吉と対峙した男・千利休の鮮烈なる恋、そして死。

著者等紹介

山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年(昭和31年)、京都市生まれ。同志社大学卒業後、出版社勤務、フリーランスのライターを経て作家になる。1999年、「弾正の鷹」で「小説NON創刊150号記念短編時代小説賞」佳作。2002年、『戦国秘録 白鷹伝』(祥伝社)でデビュー。2004年、『火天の城』(文藝春秋)で第11回松本清張賞を受賞。2005年、同作が第132回直木賞候補に選出される。2008年、『千両花嫁―とびきり屋見立て帖』(文藝春秋)で第139回直木賞候補になるなど、いま最も勢いのある時代小説作家として注目されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

162
千利休、茶道を芸術の域まで高めた茶人。歴史の授業でも習ったし、名前だけは知っている。私が知っていたのは、すでに偉人としての千利休。当然のことだけれど、はじめから偉人だった訳ではない。切腹当日から、時間を遡っていく筋立てで、千利休がいかにして千利休になっていったかがよく分かる。もともと持っていた才能が、ひとりの女の死をきっかけに高められたというのが興味深かった。千利休もただの男だったんだな、と思う反面、生き方に影響をもたらすほどの恋をしたことが羨ましくもあり。美意識と気高さを貫いた「千利休」という生き方。2014/04/11

文庫フリーク@灯れ松明の火

160
表紙を飾る木槿(むくげ)一輪。無窮花とも表される。無窮は極まりないこと・無限・永遠の意。槿花一日、名も無き高麗の美姫。限り有る、儚い命ゆえ希求した利休の美の象徴は、無窮花(ムグンファ)の名こそ相応しい。相対死できず喰い千切った小指。収めた小壺――緑釉の香合は希求する美と同時に、三毒の象徴。巻末・妻宗恩に粉々に砕かれる香合は、それが三毒の昇華で有ろうと無かろうと、利休は呵々大笑したに違い無い。的外れ承知でたずねたい。物語の利休ではなく泉下の利休へ。才有る作家・山本兼一さんが貴殿を描かれました。感想や如何。2011/02/14

なゆ

140
お茶を点てる場面が実にゆるりと静謐で、読んでるこちらも豊かな気分になれる。利休がひたすらに追い求め、誰もがおそれを抱く程の茶の美。そこまで利休を追いたてるものとは。秀吉に命じられた切腹の日から、だんだんと遡って利休の美の原点に迫るのだが、じつに切なく激しい焔に心ゆさぶられる。「緑釉の香合」「木槿」が効果的に現れる。利休を利休たらしめて、見た人は誰もが見とれ、ついには死を賜るもとになってしまった「緑釉の香合」、最後には誰の手に渡るのかと思ったら…そうなりましたか。久しぶりに、読み終わるのが勿体ない本でした。2013/03/27

chikara

124
初の山本氏の作品でした。直木賞はさすがでした。美の真髄を極めようとしていた利休を美しい描写と美しい日本語で、表現されていました。利休を切腹に追いやった秀吉の存在感はさすがで、さらに歴史小説へ誘われます。解説が宮部みゆきさんとは豪華ですね。「利休にたずねよ」何をたずねましょうか?2013/08/27

ntahima

124
奇跡の映画と呼ばれた作品がある。巨匠オーソン・ウェルズが若干24歳にして撮った処女作『市民ケーン』。新聞王が今わの際に残した「バラのつぼみ」と言う言葉の謎を追って記者が関係者間を巡る。本作も同じ趣向である。利休の自刃の日から物語は過去へ過去へとひたすら遡る。千利休の生涯は正に茶の湯の歴史そのものと言っても過言ではない。豊臣秀吉初め、本来なら歴史小説の主人公たりえる人物が脇役として次々に登場する。久々に完璧な読書体験への期待が募る。しかし至福の時は訪れなかった。ウェルズは謎を謎として残し著者はそれを書いた。2011/06/13

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