出版社内容情報
星野道夫の写真を新編集したシリーズ4作目。
星野道夫が遺した写真と文章を新編集したシリーズ第4弾。太古からの森に生きる動物や木々と、美しい花々。文庫化に際し新写真を収録。
アラスカを見つめ続けた星野道夫が遺した膨大な写真と文章を新編集したMichio's Northern Dreamsシリーズ4作目の文庫版。
▼深い森の中にいると川の流れをじっと見つめているような、不思議な心の安定感が得られるのはなぜだろう。ひと粒の雨が、川の流れとなりやがて大海に注いでゆくように、私たちもまた、無窮の時の流れの中では、ひと粒の雨のような一生を生きているに過ぎない。川の流れに綿々とつながってゆくその永遠性を人間に取り戻させ、私たちの小さな自我を何かにゆだねさせてくれるのだ。それは物語という言葉に置きかえてもよい。
▼人間の一生と比べれば、永遠ともいえる時間の流れを持つアラスカの森。気の遠くなるようなスケールの時間の中でゆっくりと動いている神秘の森に、“たましい”というものを考えさせられる一冊。
▼本シリーズの好評既刊『オーロラの彼方へ』『ラブ・ストーリー』『最後の楽園』もぜひ。
内容説明
植物たちの声、森の声を私たちは聞くことができるだろうか。あらゆる自然にたましいを吹き込み、もう一度私たちの物語を取り戻すことはできるだろうか。太古からの呼び声に、人々はどこかでそっと耳をすましている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamaneko*
66
森のなんと美しいこと!動物たちや植物のあるがままの姿に目を奪われます。鮭は命の限りを尽くして川を遡り、木は枯れることを厭わずに土に還っていく。自然には厳然たる仕組みがある。時には森の中に佇んで、悠久の時の流れに身を浸す時間が必要な気がする。2015/02/02
キジネコ
50
「木も、岩も、風も、あらゆるものがたましいをもって わたしたちを見つめている」存在するモノ、起きたコトには かならず理由がある。ホシノミチオの写真と言葉にふるえる。この感覚は信仰に出会った よろこびに似ているのではないか…と、ふと思う。わたしは わたしをみつめるモノのたましいの声に包まれている筈なのに どれほど その声に耳を傾けているだろうか。ホシノミチオに触れるたびに反省ばかりしている。自然=かみさまならば素直になれる。私は甚だしく無節操ですが、そう思うのです。全ての写真が直に見つめて、問うています。2018/07/18
piro
28
最近少しずつ手に入れて読んでいるこのシリーズ、星野さんの美しい写真と文章が心に沁みてきます。本巻の主題は森。元来、人間の生活の一部でありながらも、どこかに野生との境界線が感じられる場所。木々や倒木、地面や岩さえも一面の苔に覆われた太古の森を、星野さんは「人間とクマの世界の境界」だと言う。その漠然とした境界を意識して生活できるということは、とても贅沢なことに思えます。街に暮らしていると自然を感じることが難しいですが、遠くにある悠久の自然に思いを馳せたいと思います。2022/06/25
てんちゃん
26
時々、星野さんの本を手に取ります。大自然の悠久の時の流れのなかで、自分の悩みなんて小さいなぁ、自分の存在なんて小さいなぁと感じ、癒されます。2018/11/27
虹雪
11
写真が一枚一枚綺麗で幻想的。アラスカってこんな一面もあるんだ。フクロウ、リス、クマ、いろんな動物の可愛いさやお茶目さが素敵。香ばしい、早春の土の匂い。と言う一文が好き。本当に匂ってきそうで。2014/07/19