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朝鮮銀行―ある円通貨圏の興亡

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  • サイズ 新書判/ページ数 266p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569620251
  • NDC分類 338.421
  • Cコード C0220

出版社内容情報

帝国日本の盛衰を円通過圏の興亡史で描く書。

朝鮮銀行は、軍事行動と結びついて東アジアに円の通過圏を形成していった。本書は帝国日本の大陸政策の歴史を通貨金融の面から辿る。

日露戦争によって韓国は日本の保護国となった。朝鮮銀行は、明治四十二年、韓国銀行として設立、翌年の韓国併合で朝鮮銀行と改称され、太平洋戦争終結により閉鎖されるまでの三十六年間、軍事行動と結びついて東アジアに円の通貨圏を形成していった。大陸前進兵站基地――これが朝鮮半島の位置づけであった。そして朝鮮銀行は満州や華北へ積極的に進出し、朝鮮に京城本店以下24店、旧満州に26店、シベリアに8店、中国関内に40店、内地に9店、それにニューヨーク出張所とロンドン派遣員事務所を含め、延べ109店の営業網を東アジア一帯に展開した。朝鮮銀行の店舗展開は、国策と深くかかわっていた。また貧弱な国力の日本が戦費を調達し、戦争を継続していけたのは朝鮮銀行の存在があったからである。本書は、通貨金融の面から明治期の朝鮮半島進出、シベリア出兵、「預け合」による日中・太平洋戦争の戦費調達まで、日本の大陸政策の歴史を辿る。

●第1章 第一国立銀行の朝鮮進出 
●第2章 韓国併合を進める日本 
●第3章 朝鮮銀行、満州へ進出 
●第4章 第一次世界大戦と中国借款 
●第5章 シベリア出兵と鮮銀券の“シベリア出陣” 
●第6章 ロマノフ金貨の買い取り 
●第7章 金融恐慌時の朝鮮銀行 
●第8章 満州事変と中国の幣制改革 
●第9章 日中戦争と戦費の調達 
●第10章 太平洋戦争下の朝鮮銀行 
●第11章 終戦と朝鮮銀行の閉鎖 
●第12章 韓国銀行発足と朝鮮戦争

内容説明

日露戦争によって韓国は日本の保護国となった。朝鮮銀行は、明治四十二年、韓国銀行として設立、翌年の韓国併合で朝鮮銀行と改称され、太平洋戦争終結により閉鎖される三十六年間、軍事行動と結びついて東アジアに円の通貨圏を形成していった。貧弱な国力の日本が戦費を調達し、戦争を継続していけたのは朝鮮銀行の存在があったからである。本書は、通貨金融の面から明治期の朝鮮半島進出、シベリア出兵、「預け合」による日中・太平洋戦争の戦費調達まで、日本の大陸政策の歴史を辿る。

目次

第一国立銀行の朝鮮進出
韓国併合を進める日本
朝鮮銀行、満州へ進出
第一次世界大戦と中国借款
シベリア出兵と鮮銀券の“シベリア出陣”
ロマノフ金貨の買い取り
金融恐慌時の朝鮮銀行
満州事変と中国の幣制改革
日中戦争と戦費の調達
太平洋戦争下の朝鮮銀行
終戦と朝鮮銀行の閉鎖
韓国銀行発足と朝鮮戦争

著者等紹介

多田井喜生[タタイヨシオ]
1939年、長野県生まれ。63年、東京大学経済学部卒、朝鮮銀行の第二会社・日本不動産銀行(日本債券信用銀行)に入行。日債銀総合研究所を経て、現在、財団法人日本総合研究所参与
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

6
ブックオフで偶然見つけたが、意外な面白さに驚いた。植民地朝鮮経営のため設立された特殊銀行が、やがてシベリア出兵を経て満州事変、日中戦争へと突き進む大日本帝国を支えるに至る過程は、一銀行の社史が国家の興亡そのものと重なる。朝鮮銀行を仲介した架空預金で戦費を現地調達する「紙でやる戦争」の仕組みを作り上げたおかげで、経済的には貧弱だった日本が長期間の戦争を行えたのだ。その銀行も発行した紙幣も、敗戦と朝鮮戦争の混乱で完全に消滅していく姿には哀愁すら漂う。戦前の日本の歴史に興味のある人には、必読書として推薦したい。2019/07/08

とりもり

3
戦費を朝鮮銀行と現地銀行との預け合いで調達することで、内地の犠牲を最小限に食い止めた、といえば聞こえはいいが、要は資金面でも中国に多大な負担をかけた(結果、ハイパーインフレが起きているし)という事実はもっと知られていいのではないか。また、朝鮮戦争でソウルが陥落した後、韓国銀行券を急遽日本で印刷して韓国に持ち込んだという話も初耳。意外に面白かった。朝鮮銀行の残余財産で旧日債銀が設立されたことに一切触れていないのは、著者が元日債銀だからなのだろうか。★★★☆☆2019/09/18

hironob

1
朝鮮銀行の成り立ちがコンパクトにまとめれた良い本だった。 ここにも出てきたな渋沢栄一。ただ、知りたかった朝鮮銀行→日債銀の下りはなかったのが残念。2019/06/10

Takeshi Kubo

1
朝鮮銀行の誕生から閉鎖まで、丁度良い長さで描き出しています。 やはり面白いのは、朝鮮銀行が日本の大陸政策遂行の中で果たした役割だと思います。こうした側面から近代日本の大陸政策を見るとまた違った様相を覗うことが出来、非常に興味深いと言えます。ただ、金融や経済に関しては素人な為、まだすべてを理解しきれていないため、お詳しい方にご意見を伺いたいところです 笑2016/03/17

モルデハイ・ヴァヌヌ

1
日華事変について深く理解できる。

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