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最後の対話―ナショナリズムと戦後民主主義

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  • サイズ B6判/ページ数 237p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784569619354
  • NDC分類 304
  • Cコード C0030

出版社内容情報

同時多発テロ、日本国憲法からサブカルチャーまで――。イデオロギーを超える言論を展開してきた両気鋭による決定版・新世紀日本論。

「憲法」「教科書」「靖国参拝」「日本とアジア」等の問題をめぐる昨今の議論が、旧態依然たるイデオロギー闘争に終始するのはなぜか。それは、冷戦崩壊から十年経たいまなお、われわれ日本人の思考が停止しているからではないか。さらにいえば、旧来の「右」「左」を象徴する言葉としての「ナショナリズム」「戦後民主主義」ときちんと対峙し、総括してこなかったからではないか。

▼福田和也氏と大塚英志氏はまさに、それぞれに「ナショナリズム」「戦後民主主義」という看板を背負いながらも、自身の立場に安住することなく、対話を重ねてきた。そこから仄見えてくるものは、覇を争う駆け引きではなく、日本および日本人の輪郭である。

▼その両著者が、本書をもって、長い対話に終止符を打つ。それはおそらく、両著者、そして日本人全体が「新しい日本のかたち」を模索するうえで不可避なことなのだろう。混迷の新世紀に考える、日本の「これまで」と「これから」。

[1]「テロ」と「戦後」のあいだ 
[2]ぼくらにとってのアメリカ、そして日本国憲法 
[3]「新しい日本」を語る責任 
[4]「天皇抜き」のナショナリズムを論ず 
[5]愛国心について

目次

1 「テロ」と「戦後」のあいだ(文壇・論壇は「テロ」に対峙したか;「戦時下の言葉」で語る文学者 ほか)
2 ぼくたらにとってのアメリカ、そして日本国憲法(第一次世界大戦後の悲劇;「アメリカ」という経験 ほか)
3 「新しい日本」を語る責任(福田和也にとって理想的な国家とは?;福田和也にとってナショナリズムって何? ほか)
4 「天皇抜き」のナショナリズムを論ず(「皇室イコール日本」の終わり;統合の象徴は必要なのか ほか)
5 愛国心について(保守がサブカルチャーになった;慰安婦問題には潔癖であるのが愛国心だ ほか)

著者等紹介

福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。慶応義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。現在、慶応義塾大学助教授。気鋭の評論家として文壇・論壇で活躍。『日本の家郷』(新潮社)で三島由紀夫賞、『甘美な人生』(新潮社)で平林たい子文学賞を受賞

大塚英志[オオツカエイジ]
1958年、東京生まれ。筑波大学卒業、日本民俗学専攻。フリー編集者として、『漫画ブリッコ』の編集長、『少年キャプテン』の編集を務める。1980年代の後半から、サブカルチャーにかんする評論を展開し、明晰で説得力をもつ言葉で読者の圧倒的な支持を得る。『戦後まんがの表現空間』(法蔵館)でサントリー学芸賞を受賞。現在の本業は、まんが原作者およびジュニアノベルズ作家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

14
端的に言えば「自分たちを縛っている拘束性を自覚しよう」ということを二人で延々語っている本。例えば、戦後のナショナリズムの発露の中でもそこそこ興味深い「天皇抜きのナショナリズム」の提唱についても、天皇という存在、言葉がむしろ右、保守派の間で思考停止の曖昧なマジックワードになっていると強調した上で、天皇を前提としない「ナショナルな日本語り」を意識することの宣言だと言える。それは、福田が右派では珍しく日本の戦争責任を全面的に認め「加害者としての日本・自分」を語れる人であるのと同じだろう2014/04/24

半木 糺

4
福田和也の言うナショナリズムも大塚英志の言う戦後民主主義も戦後の思想史から断絶した、いわば彼らのオリジナルの思想である。福田はそれに気づいている、というよりそれを意図して振舞っているようであるが、大塚は素朴に「戦後民主主義」なるものがあると考えているようである。大塚の思想は基本的におたく的想像力に支えられているものであり、別に左翼的言説の伝統に連なるものではない。むしろ戦後漫画史やアニメ史の文脈の上で理解されるべきものであろう。本書ではそれが濃厚に浮かび上がる。2013/01/14

脳疣沼

2
大塚英志の話しぶりは抽象的でよく分からんなあと思うのだが、その憲法論なんかは、なんでわざわざそんな考え方をしてまで日本国憲法を守ろうとしているのか分からない。アメリカからの独立は最もなことだが、その方法論は述べられていない。しかしまあ全体的にはごく真っ当なことを言っていると思う。二人の主張もところどころで一致している。大塚英志が2001年の段階で、韓国の若者文化、サブカルチャーが日本を超えてアジアを制するようになると断言しているのはすごいなと思った。やっぱり専門家だけある。2014/08/28

anahobe

1
一般名詞としての「ナショナリズム」「戦後民主主義」を語る本ではなく、福田和也の言う「ナショナリズム」、大塚英志の言う「戦後民主主義」とは何かを明らかにしつつ、互いに互いの使っている言葉の意味を摺り合わせしながら、互いに同意できるところと違いと求めること、みたいなところをはっきりさせようという対談。対談としては建設的で良かった(言葉の摺り合わせしなきゃいみないよねと思う対談本って結構あるから)。アメリカが「戦争」の概念を変えたという福田氏の近代史説明が面白かった。先日読んでいたナポレオンの話を思い出した。2013/05/22

放蕩息子

1
初読2013/03/31

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