出版社内容情報
同時多発テロ、日本国憲法からサブカルチャーまで――。イデオロギーを超える言論を展開してきた両気鋭による決定版・新世紀日本論。
「憲法」「教科書」「靖国参拝」「日本とアジア」等の問題をめぐる昨今の議論が、旧態依然たるイデオロギー闘争に終始するのはなぜか。それは、冷戦崩壊から十年経たいまなお、われわれ日本人の思考が停止しているからではないか。さらにいえば、旧来の「右」「左」を象徴する言葉としての「ナショナリズム」「戦後民主主義」ときちんと対峙し、総括してこなかったからではないか。
▼福田和也氏と大塚英志氏はまさに、それぞれに「ナショナリズム」「戦後民主主義」という看板を背負いながらも、自身の立場に安住することなく、対話を重ねてきた。そこから仄見えてくるものは、覇を争う駆け引きではなく、日本および日本人の輪郭である。
▼その両著者が、本書をもって、長い対話に終止符を打つ。それはおそらく、両著者、そして日本人全体が「新しい日本のかたち」を模索するうえで不可避なことなのだろう。混迷の新世紀に考える、日本の「これまで」と「これから」。
[1]「テロ」と「戦後」のあいだ
[2]ぼくらにとってのアメリカ、そして日本国憲法
[3]「新しい日本」を語る責任
[4]「天皇抜き」のナショナリズムを論ず
[5]愛国心について
目次
1 「テロ」と「戦後」のあいだ(文壇・論壇は「テロ」に対峙したか;「戦時下の言葉」で語る文学者 ほか)
2 ぼくたらにとってのアメリカ、そして日本国憲法(第一次世界大戦後の悲劇;「アメリカ」という経験 ほか)
3 「新しい日本」を語る責任(福田和也にとって理想的な国家とは?;福田和也にとってナショナリズムって何? ほか)
4 「天皇抜き」のナショナリズムを論ず(「皇室イコール日本」の終わり;統合の象徴は必要なのか ほか)
5 愛国心について(保守がサブカルチャーになった;慰安婦問題には潔癖であるのが愛国心だ ほか)
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。慶応義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。現在、慶応義塾大学助教授。気鋭の評論家として文壇・論壇で活躍。『日本の家郷』(新潮社)で三島由紀夫賞、『甘美な人生』(新潮社)で平林たい子文学賞を受賞
大塚英志[オオツカエイジ]
1958年、東京生まれ。筑波大学卒業、日本民俗学専攻。フリー編集者として、『漫画ブリッコ』の編集長、『少年キャプテン』の編集を務める。1980年代の後半から、サブカルチャーにかんする評論を展開し、明晰で説得力をもつ言葉で読者の圧倒的な支持を得る。『戦後まんがの表現空間』(法蔵館)でサントリー学芸賞を受賞。現在の本業は、まんが原作者およびジュニアノベルズ作家
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感想・レビュー
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