出版社内容情報
堅苦しい百人一首を超現代語訳でスイスイ理解。
本書は、本歌を五七五七七のリズムに乗せ、現代語で詠み直した画期的な百人一首の入門書。これなら歌意もよくわかる。便利な文法解説つき。
「花の色は移りにけりないたづらに」ときけば、百人一首の中でも有名な小野小町の歌ということくらいは誰にでもわかるだろう。しかし、これに続く下の句、あるいは他の歌をどれほど知っているかとなると、とたんに怪しくなる。まして、歌詠みが歌に込めた一首ごとの気持ちや感動の情景を理解しているかとなると、もうお手上げなのではないだろうか。
▼お正月の遊び道具として、どこの家にも百人一首のカルタくらいはあった。それが今はすっかり消えうせてしまった。著者は、そんな百人一首に、もう一度、光を当ててみようとしたらしい。その手法が、タイトルにもある「超現代語訳」というもの。
▼例えば、小町の「花の色は」は「どんどんと私の姿変わったわ ただボンヤリとしているうちに」という調子。訳も見事に三十一文字で詠まれているのがミソだ。評釈つきで、文法解説もある念の入れよう。だが、「超訳」が何といっても面白い。百人一首の超簡単入門書だ。
●秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
●春すぎて 夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
●あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
●田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
●奥山に 紅葉ふみわけ 鳴く鹿の 声開くときぞ 秋は悲しき
●かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける
●天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも
●わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり
●花の色は うつりにけりな いたづらに わが身よにふる ながめせしまに ほか
内容説明
「花の色は移りにけりないたづらに」「春すぎて夏来にけらし白妙の」、どれもどこかで聞いたけど、全てを読んだことはない。だいいち意味が解からない。そもそも文法が面倒だ…。そんな人のために、大胆にも百人一首を現代語で詠み直してみた。これなら小野小町や持統天皇の気持ちもよく解かる。
目次
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ
春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山
あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む
田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ
奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき
かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞふけにける
天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも
わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり
花の色はうつりにけりないたづらにわが身よにふるながめせしまに
これやこの行くも帰るも別れてはしるもしらぬもあふ坂の関〔ほか〕
著者等紹介
薮小路雅彦[ヤブノコウジマサヒコ]
昭和15年生まれ。大学卒業後、メーカーに就職。その後、研究・出版業に身を転じ、現在に至る。その間、日本屈指の経営者と出会い、企業経営の理念や手法、政治・経済観、社会観、人間観などに大きな影響を受ける。その考えに基づく著作数十冊は、ビジネスマンをはじめ、多くの読者からの支持を集めている。また、句作もよくし、句集を出版し、さらに句会の主宰者として活躍している
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