PHP新書<br> 歴史教育を考える―日本人は歴史を取り戻せるか

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歴史教育を考える―日本人は歴史を取り戻せるか

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  • サイズ 新書判/ページ数 213p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569559759
  • NDC分類 375.32
  • Cコード C0220

出版社内容情報

  自虐史観に覆われた現代の日本。日本が正しい「歴史」を取り戻すために、人々が共有する国家の物語を模索し、新しい歴史観を提唱する。    

内容説明

本書では、象徴天皇制度の意味づけ、戦争における正義と正常の違いなど、近・現代史を中心に戦後的歴史教育を見直すための重要な論点を提示していく。歴史学者として単なる事実研究にとどまらず、その社会的役割に真摯に挑んだ一冊。

目次

序章 歴史教育問題の核心
第1章 歴史教育とは何か
第2章 国の歴史とは国民の物語
第3章 歴史における正義と正常
第4章 倫理的視点と戦争犯罪
第5章 愛国心と歴史の連続性
第6章 近代史を見直す
第7章 世界史への日本の貢献
終章 歴史の重さについて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

politics

3
歴史教育はオーソドックスなものでなければならないとの主張のもと、「国民の物語」を教えるものだと著者は捉えている。日本史だけでなく世界史からも日本を見る視点を説くなど、今でも説得力のある言説が豊富にあり大変勉強になった。そして国家をフィクションであると見なす言説に対してはそれを厳しく指摘する姿勢は今なお響いてくるものがある。保守論壇の荒廃が昨今目に付くが、改めて坂本氏という巨人を保守派が失ったのは大きいと感じさせられた。2019/10/20

コホーー

2
歴史教育において、政治・歴史研究・歴史教育の各世界は、各々別の原理に立つべき。現在の歴史教科書は、戦後的価値を絶対視するという観点から記述されているため、日本の他の時代及び他の国の歴史への理解を著しく阻害しており、戦後に獲得されたとされる民主主義と平和主義によって、現在が最も良い時代であるといった印象を与えるような記述になっている。国民の歴史とは、国民を形成した人々が、過去から何を継承してきたか、今後それをどのように積極的に活かしていくかということを反省的に捉えて、物語として再構成されたものに他ならない。2021/06/09

バルジ

2
何度読んでも議論の土台を定めながら鮮やかに問題の本質を説くその文体に魅了される。歴史研究、歴史教育の違いを説きつつもその相互作用を無視することを著者はしない。その上で「国民的一体感」醸成の為の歴史教育とは何かを考える。それは健全な愛国心と共感によって他国を理解し、自らを見つめ直し広い視野を養うそれである。ただ徒にフィクションをバカにするのではなく、その効用を認めあくまで現実的な物として「国家」を肯定する。国民国家は溶解しないのである。それは著者が亡くなった後、証明されることになるが。2019/05/19

バルジ

2
保守派の学者として著名だがだがこの本の内容は至ってバランスの取れたものだった。 歴史教育だけでなく「国家とはなにか」といった点にまで射程を伸ばして論じており、近年の軽薄な自称「保守」論陣とは一線を画している。2018/02/16

脳疣沼

2
小田中直樹の『歴史学ってなんだ?』で批判されていたので、読んでみたらまともすぎて逆に驚いた。坂本は歴史教育と歴史研究と、政治的な言説とを分けて議論している。小田中などは慰安婦問題は、資料を丹念に調べて事実を明らかにすることが重要でー、などと言うのだが、そんな話は当たり前の話で坂本と意見の相違はない。問題は教科書という限られたスペースに載せるかどうかである。そこで教育観の議論となるのである。坂本はあまりにも早く死んでしまった。残念でならない。2017/03/05

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