内容説明
古今東西の芸術をめぐる言葉の真実を説く。研ぎ澄まされた著者の眼差しが導く深い思索への旅。
目次
アルベルティ―ナルキッソスこそ、絵画の発明者であった。
出エジプト記―汝、おのれのためにいかなる像をも彫むべからず。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水のなかにあるもののいかなる似姿をもつくるべからず。
ソクラテス―技術として君のところにあるわけではないのだ、ホメーロスについてうまく語る、ということはね。それはむしろ、神的な力なのだ。
孔子―知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。
アリストテレス―哲学であれ、政治であれ、詩や芸術であれ、これらの領域において傑出した人間は、みな憂鬱質である。
ゼウクシス―自分は鳥どもをだましたが、パラシオスは画家である自分をだました。
ホラティウス―詩は絵のごとく
ウィトルウィウス―真実なものを手本とした絵が今は不当にも良しとされない。
紀貫之―やまと歌は人の心を種として、よろづの言葉とぞなれりける。
藤原定家―紅旗征戎吾が事に非ず。〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユーディット
5
芸術に関する様々な人の発言を紹介する。時代も分野も多義に渡り興味深い。ほとんど短文なので、それだけでは意味を謝る危険性もあるが、全てに一応解説がある。芸術家や美術史家の言葉は意外に少ない気がした。2019/02/05
ときお
1
ベンヤミンも三島由紀夫もバルトもドゥルーズも自殺やら交通事故やらろくな死に方をしていない。アリストテレスの「哲学であれ、政治であれ、詩や芸術であれ、これらの領域において傑出した人間は、みな憂鬱質である」という言葉が異様に響く。2014/09/10
くらひで
0
芸術家・評論家・研究者などの言説について、洋の東西を問わず、時系列に並べ替え、横断的に解釈を加える美術哲学史の本といったところか。絵画を中心に、彫刻・文学・建築・写真などの芸術全般を網羅しており、同年代の作家の相互影響が見て取れて興味深い。なお、芸術作品名も多く出てくるが、画像と併せて読むとよりわかりやすいだろう。2013/05/03