出版社内容情報
大おばあさんのもとで冬休みをすごすために、古いお城のようなグリーン・ノウ屋敷へやってきたト-リー少年。孤独だったト-リーは、しだいに屋敷の不思議な魅力になじみ、300年も前に生きていた子どもたちの存在を、屋敷のあらゆる場所に感じ取るようになるが…。 小学校中学年~
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
61
序盤のワクワク感といったらない。古いお屋敷、優しいお祖母さん、そして、すぐ傍に感じられる不思議な存在…。主人公の少年の純粋な高揚感が瑞々しく描かれる。彼と、かつてこの家で暮らした子供たちとのふれあいがこの物語の魅力だけれど、大事なのは自分の居場所を失っていた少年が、自分のことを受け入れ理解してくれる存在と出会ったこと。そして、それを自覚出来たことだと思う。2018/03/16
藤月はな(灯れ松明の火)
39
「活字倶楽部1999冬号」に紹介されていた幻想児童小説。親から離れてグリーン・ノウへやってきたトーリー。そこで出会ったのはかつていた「子供達」と「あちら」の動物。不吉な伝説のある木もあるけどトーリーは温かくも成長していく。ナルニア国物語を彷彿とさせながらも自然と対抗せずにあるがままを受け止めるようなグリーン・ノウは梨木香歩さんの作品と同じような雰囲気を感じました。「あちら」の世界のことを感じてトーリーが「彼ら」と関わるのを優しく、見守るおばあさんが素敵です。2014/02/02
ひお
14
グリーン・ノウの豊かな自然とそこに育まれた歴史が一体となってトーズランド少年に不思議な体験をさせる。300年前にそこに生きていた子どもたち、そしてその周辺を彩る森の仲間たち。すでにこの世にはない彼らと少年をつなぐ大おばあさん。時間と空間を超えた素晴しさと少しのもの寂しさが読後にふんわりと包んでくるような一冊でした。2011/07/17
紫羊
11
初版のタイトルは「まぼろしの子どもたち」だったと思う。先生たちが選んで小学校のクラス文庫に加えられたシリーズの中の一冊。この本と「銀の腕のオットー」は、暗くて怖いと人気がなかったが、私はとても好きだった。今読んでも良い作品だなと思う。2018/12/24
nemunomori
9
いつも雨が降る日には窓辺でこの本を読み返してグリーンノウに帰りたくなります。不思議な古い館のエピソードは、読んだ人すべての故郷になってくれる温かなおばあちゃんのような物語です。2015/07/31