内容説明
「従妹のアンが行方不明になった。財産狙いで夫が殺して逃げたにちがいない」。依頼を受けたキャロラス・ディーンが調査を進めてるうち、次第に不可解な事実が明らかになってきた。かつて夫婦が住んでいた場所でもアンは失踪し、やはり夫が殺して逃げたという噂が流れていた。しかしその「アン」はキャロラスが探しているアンとは別人としか思えない。背格好も性格も違いすぎるのだ。しかし本当に別人なのか?軽妙で洒落たストーリーテリング、巧みで切れのある仕掛けで読者に挑む本格推理。
著者等紹介
ブルース,レオ[ブルース,レオ][Bruce,Leo]
1903~1979年イギリス。『三人の名探偵のための事件』『死体のない事件』『ロープとリングの事件』などのウイリアム・ビーフ巡査部長(途中で退職して私立探偵になる)シリーズ、そして『死の扉』『ジャックは絞首台に!』などの歴史教師キャロラス・ディーンのシリーズで有名
小林晋[コバヤシススム]
翻訳家。日本レオ・ブルース・ファンクラブ主宰
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
33
『死の扉』以来のレオ・ブルース作品。陰気な男の元に嫁いだ従姉は殺されたのじゃないか(もし、死んでいたなら遺産は私のものだということを証明してほしい)という依頼を受けたキャロラス・ディーン教授。ところが疾走した彼女に出逢った人々の証言を聞くと容貌も性格も異なってくるのだ。果たして夫は遺産目当ての連続殺人犯なのだろうか?所々、出てくる間違ったフランス語発音で表現される料理が美味しそう。そして真相と動機に思わず、ガックリ(笑)2014/07/18
星落秋風五丈原
30
学校の先生が探偵という変わり種。厄介ごとに巻き込まれるのを恐れつつも結構楽しみにしている上司の校長が面白い。2020/02/06
アカツキ
15
歴史教師キャロラス・ディーンはチョーク夫人から行方不明の従妹アンは財産目当ての夫に殺されたに違いないと調査を頼まれる。聞き取りを進めるうちにアンとは背格好の違う第二、第三のアンが浮かび上がり…。連続殺人と思わせての変化球。もうちょっと何か欲しくなってしまうのは現代の刺激に慣れているせいかな。癖の強い人物との会話が面白く、45番の家に住む女には思わず声に出して笑ってしまった。キャロラスに仕える家政婦のフランス語発音のせいで珍名になる料理も可笑しい。料理自体は普通だとわかっていても食べてみたくなる。2020/06/30
紅はこべ
15
従妹が失踪、実は夫に殺されたのではと疑う女性から捜査を頼まれた主人公のアマチュア探偵。ミステリの設定としてはありがちだが、結末はとても皮肉。連続殺人と思いきや。容疑者の人生観も変。ただ、現在の日本じゃ、珍しくないタイプかも。2008/02/21
ヨッシー
8
初レオ・ブルースです。いやはや、これはとっても面白いミステリですね。とにかく延々と会話主体の聞き込みシーンだらけですが、どちらかと言うと変な人が多い(笑)ので、もんのすごく読みやすいです。提示された謎は魅力的、そして明かされた真相は……うぅむ、これは変化球ですねぇ。証拠がはっきりあるわけでもないし、本格ミステリかと言われるとそこまでキレイな本格ではないんですが、非常に筋の通った推理に感心しました。こういう、純粋にパズルっぽいミステリは結構好きです。さてさて、あさって発売の『死の扉』はいかに……。2012/01/25