内容説明
北朝鮮から米国への亡命者を乗せたボーイング747‐400は数時間遅れの出発ながら、順調な夜間飛行になるはずだった。が、離陸後まもなく異変はおきた。失速警報と速度超過警報が同時に鳴り響き、高度計はゼロを指し―。高速道路を目隠しで突っ走るような恐怖にパイロットはパニックに陥りかけた。そのとき無線が入ってきた。「こちらのシミュレーターを使って、いまからあなたの機を操縦します」考えもしなかったこの方法に、パイロットはすがった。絶体絶命の危機はこれで回避できるはずだったのだが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
34
北朝鮮外交官の亡命と彼を乗せアメリカに向かう旅客機に起こった緊急事態。またもや機長を頼れない状況に追い込まれた副操縦士の江波を今回はパイロットになる夢をあきらめた女性・望美がシミュレーターによって救援することに。終盤に向けて高まる緊迫感のわりにラストはあっさり。江波と望美も顔を合わせないし。だけど実際そんなものかも…とかえってリアルに感じられたかな。このシリーズはこれで終わりだけど他のも機会をみつけて読みます。2014/04/22
Our Homeisland
9
パイロットでもある人が作者だそうで、描写も細かいところまで非常にリアルで丁寧、設定とストーリーと、登場人物たちのドラマも面白くて、楽しめて読めました。ただ、全体的に、読み続けにくくて読むのに時間がかかった。手に汗握らせ過ぎで、数ページめくると、一度、本を置いてしまって、、の繰り返しでした。よくできた面白いものを読んだな、と思うわりに、読後満足感がそんなに高くないという、不思議さがありました。2012/12/24
tetsu
5
★4 本職のパイロットが書いた小説だけに旅客機のコックピットの様子やフライトシミュレータなどなど細かい点でリアリティあふれる。さすがの有川浩でもここまでは書けない。 ストーリーにもスピード感があり、つい先を読みたくなります。ただ、残念なことに作者の内田幹樹氏はすでに亡くなっていました。 新作が期待できないのはさびしいものです。2013/09/26
茜空
4
コントロール不能のジャンボをシュミレーターで誘導するアイデアは、さすが元機長だと思います。もっといろんな作品を読みたいので作者の早すぎる死が残念でなりません。2011/05/08
ゆき
3
★★★★☆:北朝鮮からの亡命者を乗せアメリカへ向かっていた旅客機。パイロット二人が原因不明の意識混濁に陥り、計器類は突如エラーを発し使い物にならなくなってしまう。絶体絶命な状況の緊迫感と、アクロバティックな方法で困難を乗り越えていくスリリングさにページを捲る手が止まらない。航空業界が抱える様々な問題点が浮き彫りにされているのも、元パイロットの著者ならではで、とてもリアリティがあって良い。内田さんの作品を読むのはこれで四作目だけれど、今のところこれが一番好き。2014/08/09