内容説明
エレベーターの前で胸を刺された男は「常務に、いきなり刺された」と、犯人を名指しして絶命した。“殺人犯”は、エレベーターで無人の最上階へ向かうところを目撃される。電話は不通、扉も開かない。ビル内には犯人を含めて九人だけ。犯人はなぜ逃げようとせず、とどまっているのか―。やがて最上階のエレベーターは下降を始めた。そして扉が開く。そこには、背中を刺され、血まみれで息絶えた常務が倒れていた。―いったい誰が、いかなる方法で殺したのか。常務が犯人ではなかったのか。積み重ね、研ぎすました論理の果てに行く着くのは八人の中の一人。新鋭が読者に挑戦する正統派長編本格推理。
著者等紹介
氷川透[ヒカワトオル]
横浜生まれ。東京大学文学部卒。『真っ暗な夜明け』(講談社ノベルス)でデビュー。『密室は眠れないパズル』は、1997年鮎川哲也賞の最終候補に残り、島田荘司の高い評価を得た『眠れない夜のために』を改稿改題したものである
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感想・レビュー
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ちくわ
24
今作も面白い!!あらすじは省くとして感じたことは、状況が状況なだけに犯人がすぐ分かってしまう。そこからトリックもなんとなく分かってしまうということです。ですが、犯人を導くための緻密な推理は読んでいて面白いです!舞台設定とか雰囲気とかかなり好みの作品でした。氷川が初対面の由佳に対して芽生えた感情については少し過剰すぎでは、、、2016/12/17
kate
21
『真っ暗な夜明け』の3年前に氷川が遭遇した事件を描いた作品。作中語られる本格談義や真相へのロジックは中々面白かったものの意外性は乏しく犯行方法も比較的わかりやすいのが残念。ただ古き良き本格的な味わいがよく出ており好きな作風です。2014/08/27
葉月
3
推理にこだわる作家だけあって、真相それ自体というより真相への迫りかたが面白い。トリック自体には意外性はないのだけれども、そこに辿り着くまでの密室分類とそこから密室の穴を導き出すまでの過程が見事。都会のど真ん中でクローズド・サークルができてしまうところやその理由などもよく考えられている。いわゆる多重推理が採用されているのだけれど、ダミー推理二つにもその推理をしなければならない理由がきちんと設定されているのも良かった。プロローグとエピローグの手紙もしゃれているし、全体的によく考えられたミステリだと思う。2024/09/14
まじょ。
3
氷川透作品がやっぱり好きだ。読者ならではの直感で犯人を絞り込むとあの発言を疑うことになり、結果的にトリックまで明らかになってしまう弱さはあるものの、他作品に比べて読みやすくお薦めしやすい1作。なによりW密室という状況がいい。密室講義も嬉しい。犯人がとにかく忙しいのも本格らしくて良い。氷川透の復活を切に願います2019/03/06
はなくま
3
オフィスビル内で起こる殺人事件、出入口は塞がれ電話線が切られ都会のクローズドサークルと化した出版社でミステリマニア達による犯人探しが始まる。現実を語り主導権を握るのは犯人か名探偵か。可能性を理論で一粒一粒つぶしていくが、そこに時間をかけるかとウンザリすることも多々。だが、かしこまった感じは本格派らしくて良し。2016/04/28