内容説明
本書は、社会科学におけるマクロとミクロ、また長期と短期の間に見られる異なる見解、事例研究の擁護、経営の実践家との間の互いに意義深い対話の土俵といった問題群を、“行為のシステム”という実在に関する仮定を置き、“意図せざる結果”を探究し、実践家との間で反省的な対話のプロセスを活発化していくという、ひとつの方法論的立場の設定によって解決したものである。
目次
第1章 問題意識
第2章 2つの環境観―“行為のシステム”と“変数のシステム”
第3章 法則定立的アプローチの進展―メカニズム解明モデルとカヴァー法則モデル
第4章 経営学における不変法則確立の可能性
第5章 行為システム記述の復権に向かって―“読み”の解釈と時間展開を伴う合成
第6章 説明法の事例研究―“柔軟性の罠”の説明原理
第7章 間接経営戦略―行為システム記述の戦略論に対するインプリケーション
第8章 行為の経営学―反省的対話の促進に向かって
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感想・レビュー
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uju
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方法論史等踏まえていないので、あたふたしながら読んだ。実際読めてない可能性大だから要再読。法則なんてものはなくて、理論(変数システム)が示すのは簡略化された社会システムの説明(言い換えるなら、客観性のある程度担保された社会の常識?)。現実世界で因果をつなぐのは主体の意図と行為の連続。後者を分析し尽くして初めて企業家との建設的対話が可能になる。ならば学術における理論的貢献っていうのは、社会観測的な義務を果たす行為なのであって、必ずしも新しいことを言う必要性って無いんじゃないか?2012/10/23
yu01
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法則定立的アプローチと解釈学的アプローチの対話不可能状態を乗り越えるために、メカニズムを解明(行為主体の意図と行為、また他者との相互作用を解釈し、さらにシステム全体としての挙動を把握)して意図せざる結果を探究する行為システムの経営学をたちあげる。正統派経営学への懐疑、存在論、認識論まで遡ったアプローチ、膨大な事例研究…学説研究ここに極まれり、という感がある。2012/09/27