出版社内容情報
ネット選挙や著作権をめぐる新しい思想をレポートし、透明性のあるガバナンス(統治)について考える。
【著者紹介】
1944年香川県生まれ。関西大学文学部教授。ドイツ文化論、ヨーロッパ文化論専攻。
目次
第1章 発祥の地スウェーデンで起きたこと
第2章 海賊党出現の歴史的背景
第3章 ドイツ海賊党の台頭
第4章 ドイツ海賊党の主張
第5章 デジタル社会とヨーロッパの政治
第6章 海賊党の思想
第7章 海賊党の行方
第8章 日本のネット事情と日本海賊党
著者等紹介
浜本隆志[ハマモトタカシ]
1944年香川県生まれ。関西大学文学部教授、ワイマル古典文学研究所、ジーゲン大学留学。ドイツ文化論・比較文化論、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
38
2013年の著作。ネットの自由を看板に、特許権の廃止やフリーダウンロードを求めるこんな政党が欧州で広がっていたことは初耳でした(最近は人気も下火みたいですが‥)。海賊という言葉に対する西欧人が持つ反権力、自由というイメージや、ナチ時代の独エーデルワイス海賊団なども勉強になります。フラット化や透明化など志は素晴らしいのですが、ワンイシューで若者の人気を集めても、実態が伴わなければ政党としては持続できないのでしょう。欧州はいま移民排斥のポピュリズム政党が躍進していますが、こちらはどうなるのか注目ですね。2017/02/20
tolucky1962
9
ネット規制,知財の独占に反対。代表制間接民主主義に対しネット議論による液体民主主義を提唱。ライブと配信にシフトし著作権保護の短縮し,非営利なファイル共有は自由化すべきとする。研究費の多くが特許回避であるなどから特許制廃止も提唱。権力による監視を歴史から学んだドイツ。ネットによる監視が可能な時代にネット自由化と個人情報保護を課題とする。これまで技術が社会を変え政治制度も変わってきた。著作権は法が後追い。ネットが社会を根本から変えている時代に,政治制度も大きく変わるべきで,その具体が現れた例ということでしょう2022/02/12
またの名
4
権利者激怒必死の21世紀欧州を徘徊する妖怪。ネットと著作権等の相性の悪さはもはや説明するまでもなく、古い世代の政治体制ともそりが合わないことが叫ばれる中、必然的に登場してきたふざけた感じのする政党は、現代型の管理監視・思想統制・独占化に対して案外筋の通った反論を提起する。終章で日本における場合を考察しながらネット選挙解禁に触れていて、出版日を見ると2013年7月10日。あの参議院選が今もたらしている状況はともかくとして、海賊党の極端な主張も考慮しなければならないほど発展したテクノロジー時代を考える一助に。2013/12/18
はすのこ
2
存在その物は危険ではあるが、SFの実現という観点で見れば、面白くもある。そんな海賊党について表したのが本書である。海賊党はネット民による一大ムーブメントであり、もう少しメディアが取り上げるべき内容だと思う。一大政党による独裁政権は1984年を彷彿とさせるが、海賊党がその先駆けで無い事を祈るばかりです。2016/01/07
T.Y.
2
スウェーデンで誕生し、ドイツで盛り上がった政党「海賊党」。インターネット時代における著作権の緩和と、直接民主制と間接民主制を複合した「液体民主主義」を唱えるその実態、強みと弱み、流行りと廃り。ナチス時代の抵抗運動「エーデルワイス海賊団」や、カントやハーバーマスの思想といったドイツ的なものとも結び付けてこの運動が論じられる。今後この政党が成功するかどうかは分からないが、デジタル時代において考えるべき問題が多く関わっているのは確か。2013/12/04