白水Uブックス
ビリー・ザ・キッド全仕事

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  • サイズ B40判/ページ数 215p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560072134
  • NDC分類 931
  • Cコード C0297

出版社内容情報

伝説的アウトローの愛と死と暴力に満ちた生涯を、詩、挿話、写真、インタビューなどで再構成。斬新な手法で鮮烈な生の軌跡を描く。血は死ぬまでおれについてまわった首飾りだ
 左利きの拳銃、強盗や牛泥棒を繰り返し、21人を手にかけた殺人者にして、多くの女たちに愛された伊達者――西部の英雄ビリー・ザ・キッドの短い生涯は数々の伝説に彩られている。友人にして宿敵の保安官パット・ギャレット、のっぽの恋人アンジェラ・D、無法者仲間でライフルの名手トム・オフォリアードら、ビリーをめぐる人々。流浪の日々と束の間の平和、銃撃戦、逮捕と脱走、そしてその死までを、詩、散文、写真、関係者の証言や架空のインタビューなどで再構成。ときに激しい官能、ときにグロテスクなイメージに満ちた様々な断片を集め、多くの声を重ねていく斬新な手法でアウトローの鮮烈な生の軌跡を描いて、ブッカー賞作家オンダーチェの出発点となった傑作。カナダ総督文学賞受賞。作品の成り立ちを作者自ら振り返った2008年版「あとがき」を追加収録。

マイケル・オンダーチェ[オンダーチェ]
1943年生まれ。カナダの作家。詩人として出発し、西部のアウトローの伝記に取材した『ビリー・ザ・キッド全仕事』(70)で詩と小説の融合を試み、カナダ総督文学賞を受賞。『イギリス人の患者』(92)ではブッカー賞受賞、映画化もされて世界的人気を博した。他に『ライオンの皮をまとって』『アニルの亡霊』『ディビザデロ通り』『名もなき人たちのテーブル』などの邦訳がある。

福間 健二[フクマ ケンジ]
1949年、新潟県生まれ。詩人・映画監督、首都大学東京名誉教授。2011年、詩集『青い家』で萩原朔太郎賞と藤村記念歴程賞をダブル受賞。その他の著書に『福間健二詩集』(思潮社)、『会いたい人』(思潮社)、『佐藤泰志 そこに彼はいた』(河出書房新社)、訳書にマイケル・オンダーチェ『ライオンの皮をまとって』(水声社)、リチャード・ブローティガン『ブローティガン 東京日記』(平凡社)、映画監督作品に『わたしたちの夏』『あるいは佐々木ユキ』『秋の理由』などがある。

内容説明

左ききの拳銃、西部の英雄ビリー・ザ・キッド。その短い生涯は数多くの伝説に彩られている。宿敵パット・ギャレットとの抗争、流浪の日々と銃撃戦、束の間の平和、逮捕と脱走、その死までを、詩、挿話、写真、架空のインタビューなどで再構成。ときに激しい官能、ときにグロテスクなイメージに満ちた断片を集め、多くの声を重ねていく斬新な手法でアウトローの鮮烈な生の軌跡を描いた、ブッカー賞作家オンダーチェの傑作。

著者等紹介

オンダーチェ,マイケル[オンダーチェ,マイケル] [Ondaatje,Michael]
1943年、セイロン(現スリランカ)のコロンボで地主階級の家庭に生まれる。ロンドンのパブリックスクールを経て、1962年にカナダに移住し、トロント大学、クイーンズ大学等で学ぶ。1967年、第一詩集『繊細な怪物』を刊行、教職に就きながら詩作を続け、演劇・映画にも活動の幅を広げる。アウトローとジャズ・ミュージシャンの伝記に取材した『ビリー・ザ・キッド全仕事』(70)、『バディ・ボールデンを覚えているか』(76)で詩と小説の融合を試み、高い評価を得る

福間健二[フクマケンジ]
1949年、新潟県生まれ。詩人・映画監督、首都大学東京名誉教授。2011年、詩集『青い家』で萩原朔太郎賞と藤村記念歴程賞をダブル受賞。映画監督作品に『わたしたちの夏』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

60
ビリー・ザ・キッドの生涯を詩や散文、インタビューを中心に再編した一冊。自分自身キッドについて知る所は少なく、西部の無法者であるとか、保安官との確執くらいなものである。故にこういう形で再編されても、さっぱり実像が掴めないというのが正直なところ。それにしてもこういう断片を積み上げて全体像を浮かび上がらせようという試み、一時文学の世界で流行っていたなあ。シュルレアリスムとかコラージュとかの影響なのかな。ただそんな中にあって犬の近親相姦の試みは、一種異様な読後感を残す。覗き込んではいけない者を覗き込むような……。2017/07/22

ヘラジカ

37
ビリー・ザ・キッドというとペキンパーのあの名作や『左きゝの拳銃』という映画を思い出す。調べてみるとどうやらアメリカの歴史上人物(?)の中でもかなり人気があるらしく、数多くの映像作品や小説が存在するようだ。オンダーチェのこの作品は、その伝説的ガンマンの生涯を架空の詩やインタビュー、実在のパルプマガジンなどをコラージュして復元している。中々に前衛的というか実験的というか、題名から単純な伝記を想像していたため、とにかく苦戦した。心から楽しんだとは言い難いが、その試み自体は大変魅力的だと思う。(2017・25)2017/04/13

スプーン

26
書評家・豊崎由美さんのおすすめで読んでみた一冊。 詩やインタビュー、散文からなる物語。 アウトロー達の生きざま、死にざま。 どうしようもないグロテスクな逸話の数々。 そこから何を浮かび上がらせたかったのだろう? 神様の話が出て来てホッとした。2017/04/16

くさてる

18
左利きの拳銃使い、西部の英雄、ビリー・ザ・キッドの人生を、架空のインタビュー、詩、写真などの断片で再構成した内容。不思議な読み心地だけど、とても面白い。創作だと分かっているのに、ビリーの声は生々しく、なんども表紙の写真を確認した。本当のビリーがこんな詩人であるはずもないのに、ここにはビリー・ザ・キッドが存在する。それは著者の創り出したビリーなのだろうけど。とても良かったけれど、ビリー・ザ・キッドという存在の文化的な意味がもっと理解できていたら読み心地も変わったかもしれない。そこが残念。2020/08/29

rinakko

16
素晴らしい。オンダーチェの言葉によれば、“無法者ビリー・ザ・キッドが書いたという想定でふと思いついた何篇かの詩がはじまり”という一冊。とりわけ詩の部分を読んでいると、凄烈に衝きつけられる荒くれた言葉から、短い人生を燃え尽きさせてしまうまでのビリーの息づかいが直に伝わってくるようで、幾度も痺れた。女には優しく紳士的だった兇漢の不思議な魅力と流す血の熱と、どこまでも追ってくるギャレットとの因縁…そのどれもから眼が離せなくなる。死と隣り合わせの官能、狂気とすれすれの疾走も。リヴィングストーンの件にも射貫かれた。2017/04/14

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