白水Uブックス
狼の太陽―マンディアルグ短編集

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  • サイズ 新書判/ページ数 198p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784560070826
  • NDC分類 953
  • Cコード C0297

出版社内容情報

 マンディアルグの第2短篇集。アンドレ・ブルトンが《新形式の幻想》と評したごとく、作者の諸特質が最も絢爛たるかたちで発揮され、小説技法の面でもほとんど完璧の域に達している。「考古学者」「小さな戦士」「赤いパン」「女子学生」「弾崖のオペラ」「生首」を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

14
言葉のイメージがとにかく凄い。読みながら極彩色に彩られた宝石や黄金を思わせる文章の数々。そのくせストーリー自体は酷く陰鬱なものばかりである。どの話にも女性が絡んでおり、その導きによって異界に迷い込んだり彼女たち自身が不可思議な体験をさせられる。『考古学者』の体内から苺が溢れる女や『小さな戦士』の失われたファム・ファタル。『断崖のオペラ』の海豹や海象の仮装をした者等、どこか部分を改造されたような人間も多数出てきており、作品に悪夢めいた印象を与えている。幻想文学というもののお手本のような作品集でありました。2012/06/18

ヒツジ

4
一文が長く、比喩がいくつか続くときもあるので集中して読まないと数行前に何が書いてあったか忘れてしまう。だがそこから得られるのは類稀な幻想イメージ。『考古学者』の水中に沈んだ石像や館に眠る蝋人形、『断崖のオペラ』の洞穴で行われる儀式めいたオペラなど、忘れがたいイメージを鮮烈に残してくれる。2014/02/22

rinakko

4
絶品。うとりと隅々まで堪能した。どこまでも艶やかにめくるめくっていく幻想的なイメージの連なりは、豊饒と言ってもいいほどなのに、そこに語られている物語の内容がこんなにも暗欝であったり異様に歪んだ官能に満たされている…という、何となしにアンバランスなあやうさと、独特な視野狭窄感が魅力。特に「考古学者」の、女性嫌悪を描いた箇所が面白かった。何か…珍かな虫が琥珀みたようなものに閉じ込められているのを、矯めつ眇めつ仔細に観察させてもらっているような気持ちになってきた。ふ。…おぞましい幻想に縁取られた、夢想家の悲劇。2011/03/24

ばん

3
『燠火』を兎乃さんに勧められ、そのままマンディアルグが好きになったため読んだ。兎乃さんありがとう。世界に対して明晰であるにもかかわらず、どうしてこうもゆがませるのかと思うほど、彼独特の絢爛とした心眼を通した偏執的傾向とイマジネーションの炸裂がある作品集。彼の幻想的でドライヴの感じられる文体は、風景を引き延ばす感覚がある。「考古学者」の鉱物的な世界と、女性的な柔らかさがもつ崩壊・死というものの対比という彼のモチーフが濃厚に出た作品から、「赤いパン」のようなめまぐるしい奇想が展開していく作品がある。2012/12/24

wakabon

0
マンディアルグって特別好きな作家でもなく、読んでも「ああ、こういうのが好きな人はハマるんだろうな」ぐらいで冷めた感想しかもてないのだが、何故かたまに読みたくなってしまう…。でも感想はいつも同じ。でもまた読みたくなってしまうんだろうな…。2016/05/14

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