出版社内容情報
ある冬の夜ふけ、Kが村にやってくる。測量士として城から雇われたのだ。しかし城からの呼び出しはない。この城という謎の存在を前にして、一見喜劇的ともいえるKの日常がはじまる。
内容説明
『失踪者』『審判』につづく長編三部作の掉尾を飾る作品。カフカ畢生の大作。池内紀による清新な個人訳で贈る新校訂版全集。
著者等紹介
池内紀[イケウチオサム]
1940年生。1965年東京大学大学院修了。ドイツ文学者。主要著書に「諷刺の文学」「ウィーンの世紀末」「カフカのかなたへ」「見知らぬオトカム」。主要訳書に「カフカ短篇集」「カフカ寓話集」J・ロート「聖なる酔っぱらいの伝説」
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秤
14
(何度か感想を書こうと試みて、そのたびに失敗。読み進めて、そして読み終えても索寞としている心境を言葉に上手く落とし込められなかった。陳腐になってしまいそうなのが恐ろしくて、それを避けたいというのもある。再読するときの自分に期待するしかない。)2019/06/22
パブロ
13
カフカは本当にこの物語を終わらせる気があったのかな〜。ひたすら続くかみ合わない会話、思わせぶりなのに中身の無いやりとり。読んでいる私は主人公Kとともに振り回され続ける。イライラが悲劇に代わり、それを超えるとゲラゲラ笑い出したくなる。「結末なんかないんだよ。この物語の幕を引くのは死だけだよ」とカフカの声が聞こえてきそう。な〜んだ、これって私の人生そのものじゃん! 死ぬ間際に自分の人生が悲劇だったのか喜劇だったのか、それはもう私の考え方ひとつってだけの話。未完だからこそのとてつもない広がりを持ったスゴい小説。2014/07/09
さぼさん
8
どれだけ求めても,たどり着くことができない“城”.目の前に見えるその“城”は実在するのか,しないのか.目に見えない存在に支配される人々.城は神か,独裁者か...2010/12/21
hirayama46
2
カフカのなかでも最長の長編。でもやっぱり未完。内容はやはり官僚との軋轢などを描いたいつものカフカ。/後半のオルガさんの長広舌は圧巻でした。たぶん作者もコントロールしきれていなかったのでは、と感じます。そもそもカフカが普段からどの程度自分の物語をコントロールしていたのかよくわからないですよね。だからこそぐねぐねした結果、未完なのかもしれませんが……。2017/05/29
甘木
2
登録漏れ2015/06/21