青の物語

青の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 144p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560043233
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

 サファイアの青のイメージで彩られた、西欧とオリエントの幻想的なからみ合いを描く表題作の他に、ユルスナールの実父の新婚旅行に想を得た『初めての夜』、イタリアを舞台に、地中海世界の呪縛からの解放をテーマにした『呪文』の3篇を収録。初期の未発表短篇を詩人の清新な翻訳でおくる。

内容説明

サファイアの青のイメージで彩られた、西欧とオリエントの幻想的なからみ合いを描く表題作の他に、ユルスナールの実父の新婚旅行に想を得た「初夜」、イタリアを舞台に、地中海世界の呪縛からの解放をテーマにした「呪文」の三編を収録。初期の未発表短編を詩人の清新な翻訳でおくる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

柊渚

29
少女の淡い空色の瞳から、涙がはらはらと零れ落ちる。地に触れた瞬間、藍玉(アクアマリン)と化したその涙は、やがて遥かなる紺青の海へと還っていくのだろう。哀しみも欲望も、すべて。青色にどこまでも魅せられる表題作、その他二編からなる短編集。『呪い』の「憎しみの可能性と同時に、怖れが、愛の可能性を殺してしまった」という一文が、とても好きだった。誰かが自分のことを嫉み、そして死を願われる程度には自分は幸福だったのかと満足げに微笑む姿、倒錯的で…大変好き。2022/02/09

kthyk

18
ユルスナールの死後出版された「青の物語」はどれも、彼女の20代、「ハドリアヌス帝の回想」を準備している頃の作品だそうだ。彼女の作品にある関心は地中海ギリシャあるいは東方であろうから、バラバラの三篇からも共通性は読み取った。しかし、解題にユルスナールは「青・赤・白の物語」を書く予定だったあったことに驚いた。確かに「黒の過程」は大好きだが、何処か共通するのが漱石の「坑夫・それから・草枕」、個人的にはそれらは「黒・赤・緑の物語」と思っていたからだ。描かれるのは、成り行き・出来事・感情・情熱ではなく、情念なのだ。2022/11/02

マッピー

15
貧しい村の娘・アルジェナール。美しく驕慢なアマンドは親しい友であるけれども、やはり多少疎ましく、彼女が肺の病に倒れたとき、一番親身に看病しながらも心の中でその死を願ってしまう。魔が差したのかもしれない。本人も自覚していない心の奥深くに隠した本音だったかもしれない。だけど手を下したわけではない。心の中で願っただけだ。それが厄払いの男の前で明らかにされたとき、アルジェナールは魔女となった。これは「のろい」だろうか、「まじない」だろうか。どちらにしても言葉にからめとられた若い女性の姿が浮かんでくる。(「呪い」)2023/06/06

泉を乱す

9
現代的。表題作より2、3番目の作品(「初めての夜」「呪い」)の方が好きでした。2022/06/29

Royalblue

6
青に纏わる三編のうち、表題作”青の物語”は生前未発表であった。彼女の書斎にはこの”青の物語”に継ぐ、”赤・白の物語”という構想があったらしい。青という色彩に特化したこの物語は、シャウエンの街並みや青の洞窟の紺碧たる世界を想起させる。”初めての夜”は両親の実話をもとにした小話で生前に既に発表している。この小話が収録されたことに「青」のイメージを後付けるのなら、「冷めた」感覚のブルーなメタファーだろう。2016/02/05

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