テヘランでロリータを読む

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  • サイズ B6判/ページ数 485p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560027547
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

内容説明

イスラーム革命後のイラン、大学を追われた著者は、禁じられた小説を読む、女性だけの読書会を開く。監視社会の恐怖のなか、精神の自由を求めた衝撃の回想録。

目次

第1部 ロリータ
第2部 ギャツビー
第3部 ジェイムズ
第4部 オースティン

著者等紹介

ナフィーシー,アーザル[ナフィーシー,アーザル][Nafisi,Azar]
1950年頃、テヘランに生まれる。13歳から海外留学し、欧米で教育を受け、1979年のイラン革命直後に帰国し、テヘラン大学の教員となる。1981年、ヴェールの着用を拒否してテヘラン大学から追放される。その後、自由イスラーム大学、その他で教鞭をとる。1997年にアメリカに移住、現在はジョンズ・ホプキンズ大学教授。ワシントンDC在住

市川恵里[イチカワエリ]
1966年生まれ。早稲田大学第一文学部卒(英文学専修)。編集者を経て翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

116
美しさも罪になり、鮮やかな服装や化粧すらも許されない女性への検査、暗殺、獄中でのレイプと公開処刑、火をつけた殉教者が入ってくるなどの妨害をされる授業、憩いの場にミサイルが打ち込まれる、検閲や読む本を取り上げられる。それがイスラーム革命後のテヘランの日常だった。そんな絶望的な状況下で英文学の読書会を行ったのが作者である。女性に強権的な状況で『ロリータ』のロリータに犠牲になって耐えるしかない女性の声を汲み取り、『デイジー・ミラー』や『ワシントン・スクエア』のヒロインに現状へのしなやかで強い向き合い方を学ぶ。2017/09/10

優希

103
息苦しくなるのに、読まずにいられない力がありました。イラクの激しい弾圧と差別の中、闘う姿が伺えます。残酷な環境の中でナボコフやオースティンなどを読み、語り合うことで自らの内に世界を作り上げていくことが生きる意味とも言えるのかもしれません。文学論は勿論のこと、女性たちの生活も映し出され、その姿に辛さすら感じました。自分は恵まれた環境の中にいて、このような世界にさらされている人がいることを忘れていたことを痛感します。痛いけれど読んでよかったと思える作品です。2017/04/21

harass

92
購入して一年後、やっと積読を崩す。四章のうち第一章「ロリータ」を試しに借りて読んでいたが驚いて購入して以来。イラン人女性英文学者が厳格なイスラム社会の母国での生活や人々と文学とはなにかを語る。彼女らの苦難の姿にも驚くが、それよりも、小説を読むということ、楽しみや暇つぶしだけではなく、自分たちの人生に寄せて読むこの知性と胆力にまったく舌を巻く。教科書的な読み方ではなく、なんのために文学を読むのかという個人的な答えだろうか。これは名著。とりあえず、ギャッビーを読み直す。ヘンリー・ジェイムズにも手を付けたい。2018/06/10

at-sushi@ナートゥをご存知か?

90
西加奈子「i」からの流れで手にしたものの、作中で紹介される作品は「ギャツビー」以外読んだことがないうえ、近代イラン史をバラバラの時系列で回想され、人物名は覚えづらく、対話文の区切りもなく、とにかくめっちゃ読みづらかった(涙)文化的退行としか言いようがない革命政権による思想弾圧や女性軽視に抗うようにフィクションを精神の支柱とする女性たちを通して、文学部不要論も叫ばれる現在、文学の持つ意義や力について考えさせられる。とりあえず「ロリータ」ぐらいは読んでから読み直したいw2017/08/05

どんぐり

83
実に面白い作品だ。「ロリータ」「ギャッツビー」「ジェイムズ」「オースティン」。最初の2つは作品名、あとの2つはヘンリーとジェーンの作家で、それが目次になっている。1979年、イランで起こったイスラーム革命。伝統的なイスラーム原理主義が、これまでの欧米寄りで世俗主義的だった政権を打倒し、文化や思想面で抑圧する社会を生んだ。イランの圧政と女性たちの苦難の時代、西洋の書物を手に取ることは命を懸けるのに等しいものだ。だれが彼女たちをロリータにしたのか、なぜ『ロリータ』なのか。この本を読むと、次第にそれが理解できる2017/08/16

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