出版社内容情報
毎年人口の1%を取り戻せば地域は安定的に持続できる。定住増に対応した地域内循環の強化による1%の所得の取戻し戦略を提案。
内容説明
市町村消滅論が衝撃を与えるなか、「過疎」発祥の地・島根県の正反対のデータが注目されている。県の大半を占める中山間地域の3割以上のエリアで、この5年の間に4歳以下の子供が増えている。とくに離島や山間部といった「田舎の田舎」で、若い世代のUターン、Iターンが目立つ。このような「田園回帰」を全国へと広げていく「ビジョン」と「戦略」を、循環型社会への進化を展望し、大胆に提案する。
目次
序章 「市町村消滅論」は本当か
第1章 「2015年危機」と「大規模・集中化」の半世紀―田駅回帰という希望
第2章 田園回帰が始まった―島根からの報告
第3章 人口の1%取戻しビジョン
第4章 所得の1%取戻し戦略
第5章 田園回帰を支える社会システムと総合戦略
第6章 求められる田園回帰に向けた条件整備
著者等紹介
藤山浩[フジヤマコウ]
島根県中山間地域研究センター研究統括監、島根県立大学連携大学院教授。博士(マネジメント)。1959年、島根県生まれ。1982年、一橋大学経済学部卒業。2008年、広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。1998年より島根県中山間地域研究センター勤務、2013年から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
25
著者独自の図式はコピーさせていただいた。著者は島根県出身で、私のように外で学んでから地元に研究面で還元しておられるようだ。季刊地域の再掲のような感じもしたが、中山間地域における2015年危機とは?(24頁)昭和ひとけた世代が引退し、継承危機で空き家や耕作放棄地に。固定資産税が高くなるので、他人事ではない。昭和ひとけた世代が80代になることから、15年危機というようだ。全国の中山間をくまなく歩かれた著者からすると、地元産の机やイスではない事実を重く受け止めてこられたようだ(152頁)。2015/08/24
ばんだねいっぺい
21
こういう本をずっと読みたかった。「地方消滅」の前にできることがあるので、この島根モデルを参考にしたい。2016/01/12
Carlos
12
自分の故郷ではどうするべきか?2015/09/13
ともたか
8
「中山間地と島でこの5年の間に4歳以下の子供が増えている。」という。 行政の補助(金銭や住居)が少なからず有るからであろうと思う。しかし、 それが継続的にいつまでも続くわけではない。果たしてこの本の論理は 正しいのだろうか?でも何でもやってみるしかないか。2015/09/30
Lila Eule
8
田園回帰世帯を増やし、過疎の中山間地の就労人口を増やし、生産と調達の地域内循環量をふやし、生活圏として過疎地を改造するやり方がよくわかった。地域の自覚と工夫次第で過疎地に埋まっている遊休財が活かされ、地域は生き返ると。分析、手法、事例とも納得できる実践的なもので、人口収縮国家に萎縮するのは間違いのようだ。但し、著者の文明観から産業文明、都市文明の批判が繰り返され、説得力のある実践良書なのにかえって、田園生活の敷居が高くなる。田園いいねで十分皆わかるのでは。2015/08/19