内容説明
本書は、量子論における位相、つまりSchr¨odinger波動関数の位相(phase)が大きな役割を果たすいくつかの物理学的問題を解説した。この解説は、いわば量子力学の練習問題のような形で行った。そのため、何よりも量子力学を学び始めた学生に役立つような内容にした。そこで、この本以外の本や文献を次から次へと参照しなくても学習できるように、可能な範囲内で、種々の予備的知識の解説も行った。
目次
第1章 序説:量子力学とその波動関数
第2章 Diracの磁気単極子
第3章 ファイバー束
第4章 Berryの位相
第5章 Hannayの角度
第6章 多重連結領域での量子力学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Haruki
1
量子論では波動関数が確率振幅であらわされ、電磁場についてゲージ変換で位相の不定性から、2πn(n:整数)を持つことが示される。これをもう少しきちんと数学的に展開して理解するために、ファイバー束、ホロノミー群、断熱定理の考え方を導入し、Berry位相としての定式化の理解を目指す。スピンのような2準位系ではBerry位相は閉曲線Cを境界とする閉曲面Sを原点から見る立体角として計算できる。経路積分においても積分核において、1価ではなくなり、AB効果のような実例が理解できることが示される、とイメージだけ理解。2022/05/07