内容説明
“役に立たない”はずの整数計画法が“役に立つ”方法として大復活を遂げた“世紀の大逆転ドラマ”を描く。本邦初の応用数学ドキュメンタリー。
目次
数学嫌いになる理由(ワケ)
王様と気まぐれな王女
超人ゴモリーと切除平面法
分枝限定法の時代
王女様とのおつきあい
「NP困難」という呪縛
王女様研究の進展
伝説の人物エゴン・バラス
転進
内点法革命:線形計画法の新展開〔ほか〕
著者等紹介
今野浩[コンノヒロシ]
1940年生まれ。東京大学大学院数物系研究科応用物理学専攻修士課程修了、スタンフォード大学大学院オペレーションズ・リサーチ学科修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻教授、同理財工学研究センター長などを経て、中央大学理工学部経営システム工学科教授。日本オペレーションズ・リサーチ(OR)学会会長、Ph.D.,工学博士。数理計画法と金融工学に関する著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Masaru Kamata
3
著者曰く、これは応用数学ドキュメンタリーです。応用数学の花形である線形計画法、中でも王女の名に相応しい整数計画法の、誕生から今日までの栄枯盛衰が、現場に居た者にしか書けないリアルさで描かれています。世界第一級の天才達やスター研究者たちの性格、その研究領域の浮き沈み、ユダヤ系研究者の同胞意識や師弟愛、特許戦略や欲やノーベル賞落選まで、なんとも人間臭い世界を生き生きと垣間見る事ができました。師に対する著者の深い敬愛も至る所で感じられ、胸が打たれもしました。高級数学ではないからこその熱さが、そこにはありました。2020/02/04
葉
0
ダンツィクの単体法、ゲーム理論、線形計画法における双対定理、非線形最適化、動的計画法が生まれたプリンストン大学についてや、ネットワーク・フロー理論のティーシー・フーのウィスコンシン大学での出来事などが書かれている。ナレンドラ・カーマーカーについては栄光と挫折、ユダヤを敵にまわしたことなどが写真と共に書かれている。付録の方が面白かったりもする。2015/01/26
よしき
0
今野浩先生の少し前の本。最初に読んだのは完全に自叙伝的なお話でしたが、こちらは今野先生の業界の発展史のようなお話。学問にもパワーゲームがあるんだと痛感。専門的な話は字面を追っただけです。2011/04/30
魑魅魍魎
0
数理計画の分野で著名な今野浩氏の,整数線形計画法を巡る随想録.数学にあまり詳しくなくても,比喩を用いたり,様々な工夫がなされており,アカデミックな空気を感じるコトが出来る.この分野に携わる者であれば,読んでおいて損はない一冊.2011/01/31