黒書院の六兵衛〈下〉

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黒書院の六兵衛〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784532171247
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

まもなく天朝様が江戸城に玉体を運ばれる。御書院番士はそれでも無言で居座り続けた。常の勤番所から、松の御廊下の奥へ詰席を格上げしながら。品格ある挙措と堂々たる威風は、幕末という時代が多くの侍に忘れさせた武士道の権化に映る。名も勲も金もいらぬ。すべてをなげうって武士の良心を体現した成り上がり者の希みとは、いったい何なのか―。流麗な文章で紡がれる衝撃のクライマックスは、美しく、切ない。

著者等紹介

浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞、司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞を受賞。著作多数。11年より日本ペンクラブ会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

koba

141
★★★★☆2014/04/14

あすなろ

98
黙する六兵衛。この上下巻で発した言葉は、二言⁈更に正体も掴めず。こんな小説、成立してしまうのが浅田氏なのだろう。正直、辛い箇所もあったが。これは、新聞連載で読むのは辛かろう。黙し鎮座召される六兵衛は、どんどん存在感増す。鰻作戦にも振り向かず、慶喜公かとも言われ。訓えたもの多く、人生の路傍に花を咲かせ、という最後の浅田節は何か読者も妙に感動。ひょっとしたら権現様の遣わしたものかというくだりにも妙に納得。ねじ伏せの浅田節、設定と共に面白かった。2014/11/17

文庫フリーク@灯れ松明の火

96
「物言えばきりがない。しからば、体に物を言わせるのみ」期待したカタルシスは得られなかったが、丸に矢筈の家紋。この後ろ姿は当分忘れられそうにない。同僚の津田・高利貸し、淀屋辰平・伝馬町の牢屋敷に捕われた福地・的矢家ご隠居夫妻の一人語りで明らかになってくる、六兵衛と入れ替わった男の人柄・旗本株購入の経緯。されど、入れ代わりまでの素性はおろか、本名すら判らぬ六兵衛の名を継いだ男。時に公家の回し者と思われ、時に英国のスパイと思われる六兵衛。極め付けは前将軍・徳川喜慶と勘違いする隼人。確かに六兵衛の正体が喜慶公→2013/11/27

chimako

89
六兵衛様、あなた様は一体何処の何方であったのでしょう。十ヶ月もの永きを居ずまい正し身動ぎもせず、白米と香物のみで過ごされたそのお心はどのようにして育まれたものなのか。四千両もの大枚をはたいて旗本になったその途端世の中は急変。皆様が我身の心配であたふたとなさっているその時、六兵衛様はお城に上がられ 身も心も江戸城西の丸御殿と一体となられた。入れ代わった的矢六兵衛こそが真の六兵衛だと仰るお父上とお母上のお話は胸に沁みましてございます。共にお城にあった加倉井隼人様とは佳き輩となられますことお祈りいたします。2016/11/22

財布にジャック

84
読み終わってみれば、まことに浅田さんらしい小説でした。上巻の段階でギャグだのホラーだのと疑っていた自分が恥ずかしいです。文字を使って語る小説の中の主人公がここまで語らないのは心外だと憤りさえ感じていたのにも係わらず、最後は六兵衛さんが大好きになっていました。勝さんも西郷さんも桂さんも大村さんも、六兵衛の引き立て役に見えてしまったのは、まさに浅田マジックでした。2013/12/12

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