内容説明
酒と躁ウツと文学の日々。「航海記」から半世紀。おおどかに、時にシニカルに、来し方をふり返る。
目次
1 文学への目覚め
2 執筆開始
3 躁とウツ
4 父と母妻と娘
5 先輩や友人
6 歳晩に思うこと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi_N
30
自伝であり、エッセイでもある。躁鬱を隠さないのがすごい。登場人物も豪華。2017/05/30
hiro
24
北さんのエッセイでも「どくとるマンボウ」が題名についているのは特別だと、何かで北さんが書いておられたの覚えている。その「どくとるマンボウ」シリーズは航海記 、昆虫記 、小事典、途中下車 、追想記 、青春記、医局記と回想記の8冊。シリーズ最後のこの回想記は、北ファンの私にとって読んだことがある話が多かったが、躁病のときに頭に濡れタオルを巻いている北さんなど見たことのない写真も多く、十分楽しませてもらった。あと追想記だけ読んだ記憶がないので、シリーズのコンプリートを目指し、早速Amazonで古本を注文した。2012/05/10
双海(ふたみ)
6
北さんがいなくなってつまらない世の中になりました。2013/04/18
トーマス
4
北杜夫さんの回想記。ドクとるマンボウ航海記や、船乗りクプクプの冒険が家にあって、母の本だったんだけど、それを中学の時によんですごく面白かったのを思い出した。ユーモアがあっていいよね。本作にも如何なく発揮されている。お父さんである斎藤茂吉との関係が印象深い。うるさい雷親父だけど、高校時代にふとその詩を読んで尊敬し始めた……けど、そばで暮らすとうるさい。斎藤茂吉は遠くにあってみるもの的な感傷が笑いを誘うし、また人間の真実だと思う。2017/04/26
がんぞ
3
日経新聞に連載されたもので『医局記』から年を重ね、だいぶ弱気になっているのが痛ましい。父・茂吉の青春時代の短歌を同じ年頃になってはじめて読んで感銘を受ける幸せ。実際にはやたら気難しく間違ったことばかり言う「大作家は遠くから見る方が良いと思い知った」という現実。海外旅行が珍しい頃に船医として世界旅行をして手記がベストセラーとなる幸運。それを土台に自伝的要素を満載した『楡家の人々』で文壇に定評を得た。持ち味の上品なユーモアは幼少期の良い家庭と環境(家業の精神病院で医師、患者に親近感など)によるアイデンティティ2013/07/28