感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やまはるか
10
1991年ノーベル文学賞を受賞した南アフリカの白人女性作家。300年以上も続いた植民地統治、1960年独立後も激しいアパルトヘイトが続き、1990年代に至ってようやく全人種参加の選挙が実現する。民主化前の南アの民族問題を主要テーマとする。子を身ごもり結婚報告のために男の親に一人で会いに行く娘に土産として手渡されたプラスチック爆弾が洋上を飛行中に爆発する。後に被抑圧民族の報復のための聖なる戦いであると宣言される。誰かが犠牲になる物語ばかりで甘やかな話は一つもなかった。全編に南アの厳しい歴史が刻まれている。2020/11/28