禁断の市場―フラクタルでみるリスクとリターン

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 368,
  • 商品コード 9784492654170
  • NDC分類 338.1
  • Cコード C3033

出版社内容情報

バブルは、なぜ発生し崩壊するのか? 市場は金融工学の前提である正規分布ではなく、ベキ分布で動いていることを明らかにした「フラクタル金融理論」の提唱者が示す、社会・金融への新しい視点。

内容説明

フラクタル幾何学によって、私たちの自然を見る目を変え、「雲は丸くなく、海岸線は滑らかではないこと」を数学的に説明した科学の世界の巨人=マンデルブロが示す「金融市場の本当の姿」。

目次

第1部 たどってきた道(リスクとリターン―金融工学は、リスクを過小評価するような都合の良い仮定に基づいて構築されている!;運を決めるのは、サイコロか、弓矢か?―金融市場における例外的な事象を確率的に正しく扱う方法;バシェリエの功績―100年前、運を逃した天才フランス人数学者によって金融市場の研究は始まった ほか)
第2部 新たな道(市場の乱流 はじめに―フラクタルの視点で見る市場 金融市場は水や空気の乱流と似ている;凸凹の研究 フラクタル入門―フラクタル幾何学の視点 市場価格変動のチャートと羊歯の葉の類似性;綿花価格のミステリー―フラクタルの概念はマンデルブロによる綿花価格の解析から生まれた ほか)
第3部 これからの道(禁断の金融10ヵ条―市場の本当の姿 フラクタルの視点からの教訓;実験室にて―フラクタルは、金融の世界をこれからどのように変えていくのか?)

著者等紹介

マンデルブロ,ベノワ・B.[マンデルブロ,ベノワB.][Mandelbrot,Benoit B.]
イェール大学数学科名誉教授(スターリング・プロフェッサー)、およびIBMトーマス・J・ワトソン研究所名誉フェロー。フラクタル幾何学の創設者。アメリカ国内のみならず世界中からさまざまな賞を受賞しているが、1993年に受賞した物理学の世界で権威あるウォルフ賞では「私たちが自然を見る目を変えてくれた」と称えられた。また、科学技術の進歩に大きく寄与した功績に対して2003年に日本国際賞を受賞している。ニューヨーク郊外のスカースデールに在住

ハドソン,リチャード・L.[ハドソン,リチャードL.][Hudson,Richard L.]
『ウォールストリート・ジャーナル』(ヨーロッパ版)の記者・編集者を25年勤める。うち6年間は編集主幹。1978年ハーバード大学卒業。1991年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)の科学ジャーナルKnight Fellowを勤める。ベルギー・ブリュッセルに在住

高安秀樹[タカヤスヒデキ]
名古屋大学大学院理学研究科修了、理学博士。神戸大学理学部助手・助教授、東北大学大学院情報科学研究科教授を経て、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。専門は、フラクタル理論、経済物理学

雨宮絵理[アメミヤエリ]
横浜生まれ

高安美佐子[タカヤスミサコ]
神戸大学大学院自然科学研究科修了、博士(理学)。東北大学大学院情報科学研究科特別研究員、慶應義塾大学理工学部助手、公立はこだて未来大学システム情報科学部助教授を経て、東京工業大学大学院総合理工学研究科准教授。専門は、統計物理学、経済物理学、情報物理学

冨永義治[トミナガヨシハル]
東京大学農学部・農業経済学科卒業。金融機関・投資顧問会社で債券・株式投資業務を経験した後、イェール大学・ビジネススクールに留学。現在は、国際投資分析業務に加え、大学・高校受験、英検受験等の英語指導、趣味のゴルフに関する理論の翻訳業務にあたっている

山崎和子[ヤマザキカズコ]
九州大学理学研究科物理学専攻博士課程修了、理学博士。ガウス(株)設立、代表取締役を経て、東京情報大学講師、ボストン大学客員研究員、東京情報大学教授、現在に至る。経済物理学、マルチエージェントシミュレーション、動的環境の中での適応を専門とする。最近は、金融時系列の長期記憶、マルチフラクタル性、企業の成長率の分布、気象のネットワークなどを研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

非日常口

21
いわゆる儲かる本ではない。市場の乱高下、暴落は当たり前のことであり想定外ということが正規分布という言葉の罠なのかもしれない。フラクタルのマンデルブロが、複雑系の感覚から市場のチャートと様々なグラフを比較して面白い。数学は都合の悪いものを例外として弾き飛ばす。効率化もこの延長だが、逆に例外にされた何かからすれば日常的にクライシスがくるのではないだろうか。様々なアナロジーを刺激してくれる解説書。優しい語り口で読み物としても面白い。2015/04/08

roughfractus02

4
過去の変動は未来に影響しないのか?偶然が重なると分散は一定範囲を大きく外れるのではないか? 著者が偶然、不確実さ、ランダムネス、ラフネスをトポロジーで探究しフラクタルに至ったのは、市場の動きを注視していたからだ。IBMで100年の綿花価格データを調べて1.7の次数のベキ分布であるとし、これにアルファ値という意味を発見した著者は、さらにナイル川の水量変動データに自己相関(過去に影響される)を見出していく。この非整数的ブラウン運動からモデル化したベキ分布では、市場価格は予測不可能だがその変動は予測可能となる。2017/04/14

竹花 樒 - Shikimi Takehana

4
金融市場におけるチャートの価格変動の分布はバシェリエらの功績によって従属性をもたずに、ブラウン運動のような動きをして、正規分布に従うランダムウォークモデルに近似していると考えられてきたが、実際には市場は長時間記憶を持っており、非整数ブラウン運動の確率過程に沿って「ベキ分布」に従うためスケールに依存せずに随所に自己アフィンな相似性をみせるマルチフラクタル・モデルに近似しているとマンデルブロは述べる。本当に経済を理解するには「禁断の金融10カ条」が重要であり、正しいリスクを定量化するための方針を概説した一冊。2011/09/18

テキィ

4
おもしろい。マンデルブロはこんなに大きな業績があったのかと驚く。フラクタルってCGだけじゃなかったのだと今更ながらに思う。2010/08/08

鴨長石

2
フラクタルという分野はまだ発展途上なのだろうがとても面白く、可能性を感じる概念だ。本書は株価の値動きについて、従来の金融工学の理論ではなくフラクタルを用いたより現実に近い理論を作るべきだという趣旨だが、正直なところ一番面白かったのはさまざまなフラクタル図形を紹介する部分だった。今後はフラクタル幾何学に焦点を当てたものも読みたい。株式市場について言うと、現状では一様な流れとしてしか扱っていない時間について、フラクタルを用いることにより時間の濃淡のようなものを反映させるという発想は、直観的に正しい気がする。2021/01/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/30400
  • ご注意事項