内容説明
亡き親友との銀河の覇者となる約束を果すべく決意を新たにしたラインハルトに、イゼルローン攻略のための大計が献じられた。その裏で暗躍する第三勢力フェザーンの狙いとは。一方、ユリアンの初陣からの帰還に安堵する間もなく、ヤンは査問会に召喚され、同盟首都に向かう。だがその隙を衝くようにイゼルローンの眼前に帝国軍要塞が出現。巨大要塞同士の戦いの火蓋が切られた。
著者等紹介
田中芳樹[タナカヨシキ]
1952年、熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。78年「緑の草原に…」で幻影城新人賞受賞。88年「銀河英雄伝説」で第19回星雲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
108
同盟の中央にいる政治家の腐敗が目につく巻でした。ヤンの言葉「国家が消滅して最も困るのは国家に寄生する権力中枢の連中であり、彼らを喜ばせるために人間が犠牲になる必要はない」は、どこかの国の現在を見せつけられたような気持になります。帝国側では、キルヒアイスを失くしたラインハルトが孤独を深めていきます。「おれの周囲には、おれを理解しようとしない奴ばかり残る。それとも、やはり、おれ自身の罪か」という述懐には切なくなってしまいます。そして、両陣営を操るように暗躍するフェザーン。どういう結果を招いていくのでしょう。2021/03/23
おかむー
100
安定の名作第三巻。シリーズ再読の読者にしてみるとアッちゃんことアッテンボローがこの巻で初登場だったという事実が意外。後半の存在感からすると最初から出てるイメージあるからね。『たいへんよくできました』。ユリアンの初陣に始まる前半はどちらかといえば同盟側の比重が大きめで、査問会を舞台にしたヤンの舌戦が痛快。後半でのイゼルローンvsガイエスブルグを軸にした白兵戦、艦隊戦、要塞戦という派手さが山場ではあるけれど、それぞれの場面での人の心の動きを掘り下げてこその戦術、計略だからこそ説得力がある。2016/03/27
金吾
94
○権勢を握った政治家や御用学者の嫌な部分が遺憾なく表現されており、それをヤン提督が論破していく様は胸がすきました。テミストクレスやハンニバルの例にもあるように英雄は危険な立場だなと思いました。2020/06/30
めぐ
93
なんなのだ、同盟軍の政府は!いたいけな?菜食主義者の?命を賭けて戦ってくれている、ヤンを取り囲んで(非公式な査問会)嫌がらせして。ネグロポンティのアンポンタン!まぁ、ヤンの方も退出が許された時にチクリと嫌味を言ったけれど。敗者のみでも180万人以上が死亡した。どちらが負けても無残だ。人間の数はそう簡単に増えないのに。巻数が進むにつれて戦いの規模が大きくなっている。出来ればユリアンには軍人になって欲しくはない。側でワイン増し増しホットパンチを作っていて欲しい。けれど軍人の才能は明らかだ。父親も軍人だったな。2020/11/18
かえで
80
シリーズ3巻目。前回はそれぞれ内乱に追われた銀河帝国と自由惑星同盟の両国であるけど、今回は要塞vs要塞という大規模な戦いが展開される。しかも同盟側はヤンが不在という圧倒的に不利な状況..そして暗躍する第三勢力フェザーン..。物語は加速に加速を重ね、盛り上がってまいりました。登場人物たちの掘り下げもあり、愛着も湧いてきた。戦闘シーンの描写は圧巻。あとやっぱりヤンが好きだー!次も楽しみ。2018/06/29