創元SF文庫
みんな行ってしまう

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  • サイズ 文庫判/ページ数 404p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488721015
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

『スペアーズ』の鬼才が贈る、哀感と郷愁に満ちたSFホラー集。小品ながら忘れがたい味わいを残す表題作、奇跡の医療用ナノテクがもたらした人類の意外な終末「地獄はみずから大きくなった」、田舎町に暮らす不思議な絵描きを巻き込んだ事件を描いた英国幻想文学大賞受賞作「猫を描いた男」、巨大テーマパーク兼養老院での奇怪な冒険劇「ワンダー・ワールドの驚異」など12編。

著者等紹介

嶋田洋一[シマダヨウイチ]
1956年生まれ。静岡大学人文学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

miyu

38
最初の「みんな行ってしまう」で、あ、これ好きなやつだと思えて掴みはOK。「地球はみずから大きくなった」「あとで」のザワザワ感もよい。ここまでですっかり魅了されて続く「猫を描いた男」「バックアップ・ファイル」で完全に虜に。でも意外に中弛みすることに気づいた。もう飽きたわと感じてしまい途中の何作かは正直言うと我慢して読んだ。外れたのかなと思いつつ「いつも」で再び覚醒、ラストの「ワンダー・ワールドの驚異」でニマニマ。笑って終わらせることができてよかった。味わいながら一作ずつゆっくり読むべきだったのかもしれない。2016/10/27

りー

37
珠玉!珠玉揃いの短編集!SFと言うよりはホラー寄りの歪んだ日常系作品が目白押しで、派手さはない代わりに思わず物語に引きずり込まれてしまう身近さが魅力。表題作なんかはハーラン・エリスンの『死の鳥』収録のジェフティは五つあたりと裏表みたいな作りになっているので併せて読んでも楽しいかもしれない。短編集はだいたい中頃で飽きてしまう僕が飽きずに読めるリーダビリティ、意外性よりも痒い所に手が届くタイプの適度な展開。絶版でなければ幅広い読者層にオススメしたい一冊なのに。2016/10/01

ニミッツクラス

29
05年(平成17年)の980円の文庫初版。創元のSFレーベルだが、どう見てもF(ホラー&ファンタジイ)だと思う。英本国99年の18編収録の底本から12編を抽出。短編ながら前半冗長で後半で畳み掛ける特徴を持つ。原題の該当作は巻尾の「ワンダー・ワールドの驚異」で、これは近未来SFとしても読み応えがある。巻頭に配した表題作は訳者の好みなのかな。「見知らぬ旧知」はサイコ風ミステリ。「いつも」の生と死の情緒漂う結末は、奇想とは言え初めて読んだオチ。ナノテクハザードや人生の再構築ファイルなどの案件も良い。★★★★☆☆2022/01/07

くさてる

21
SFホラー短編集。寂しさと喪失感、愛されないこと、愛し方を知らないこと、そしてそれらの想いが引き起こす恐ろしい運命…という感じの作品が多く、なまじのスプラッタなどよりもずっと怖かった。歪なスティーヴン・キングというか。題名がすべて、の「みんな行ってしまう」、SF的発想が辿りついた運命の恐ろしさが秀逸な「地獄はみずから大きくなった」、孤独なオールドミスの巻き込まれた災難が身に沁みて怖くスリリングで救われない「家主」などがとくに印象に残りました。2014/12/06

tom

20
現代ホラー話という感じの短編集。読友さんのコメントを読んで手に取ってみたもの。こういう本を教えてもらえるから、読書メーターはやめられない。この本に載っている物語は、普通の生活が、いつも間にか妙な世界にスルリと入り込んでしまって、とんでもない事態になってしまうという展開をたどる。とはいえ、ハードボイルドが起きるわけでもなく、異様な日常生活がそこにあるという雰囲気。巻末の、亡くなった妻を紙に包み、折りたたんでいって、最後には手のひらにのるサイズにしてしまう話。これはとてもよろしい物語。2016/08/14

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