創元SF文庫<br> ライズ民間警察機構―テレポートされざる者・完全版

創元SF文庫
ライズ民間警察機構―テレポートされざる者・完全版

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  • サイズ 文庫判/ページ数 382p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784488696153
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

テレポート装置の発明で、人類の他星系への植民が始まった。だが奇妙にもこの装置は片道通行で、地球に戻ってきた者は一人もいない。疑いを抱いた主人公ラクマエルは、テレポートではなく宇宙船で、植民星へ往復36年の旅に出ようとする。彼を支援するのは民間の超巨大組織ライズ社だ。だが何重もの妨害工作の中、計画は予想もしない展開に…著者の死後発見された完全版で贈る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

催涙雨

37
テレポートされざる者の完全版、ということになっている作品。大筋は基本的に同じなのだが、純粋なバージョンアップ版として見るには作品から受ける印象がやや異なりすぎるきらいがある。主な理由は後半の話の順序がまるまる入れ替わっていること。こういった変更点をはじめ三種の異本の詳細は解説に詳しい。で、やっぱり二冊読んだところで前半のほうが面白いって印象はあまり変わらないですね。つまり、一切加筆されていない最初期の部分が一番面白いと。本人はこの部分は金を稼ぐためだけに書いたというスタンスで、むしろ後半にこだわったようで2021/11/26

だまし売りNo

31
テレポート装置が発明された未来を描くSF小説。民間警察機構とあるように民間の警察である。民間組織の方がまだ信用できる。ディックは警察への不信感を持っていた(牧眞司「解説 変貌するテキスト、あるいは「一寸先はパラレルワールド」」368頁)。ドラッグで洗脳支配されるディストピアを描く。兵器にLSDが使われ、敵を洗脳させる。2023/04/29

ボーダレス

13
地球以外にただ一つ、生存殖民可能な惑星、“鯨の口”へは遥か24光年もの道のりだ。THL社が開発したテレポーテーション装置では、たった15分で渡航可能だが行ったきり、一方通行で何故か?戻って来た人がいない。謎の惑星“鯨の口”の実態とは…。PKD特有の幻覚、精神崩壊、フェイクなどメタフィクション的なパラワールドは混乱の極みだが、そこが逆に面白い。シミュラクラ(模造人間)、ドクターブラッドの書なる記載が本書に出てきたりとPKDワールドのアイデアの奥行きの深さを感じた。 2019/02/05

ぐるぐる244

6
サンリオ版「テレポートされざる者」を昔々読んで、ゾウムシがでてくるところで放り投げてしまい、原稿が欠落しているところまでたどり着けなかった。ようやく古書で完全版を読むことができて満足。不完全版?完全版の図入り比較解説もありマニアック。2018/04/30

roughfractus02

5
『テレポートされざる者』「完全版」と銘打つが、異本のように思える。63年の雑誌掲載版に大幅加筆された66年の単行本と、さらに改変した本書は、各々のバージョンのようだからだ。移民可能な星にテレポートすると二度と帰れないという情報がどこまで真実か確かめようとした主人公が、独裁体制下で収容所社会となった星に着く。が、テレポートで地球に帰れないという情報が偽物の可能性が出てくると、同じ星でもテレポート次第で楽園のような社会に着く可能性も仄めかされる。バージョンとしての書物は互いのバージョンとしての世界を作るのだ。2020/05/25

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