創元SF文庫
ジョーンズの世界

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  • サイズ 文庫判/ページ数 349p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784488696061
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

保安警察の捜査官がカーニヴァルで出会った奇妙な占い師。個人の占いはお断り―つまり人類の未来だけを占うという、この男がジョーンズだった。一年先までを完壁に予知できる超能力者である。世界政府は彼を監視下におくが、やがて彼のもとに人々は集い、政府を脅かす組織にまで発展する。一方、太陽系には“漂流者”と呼ばれる謎の物体が飛来していた。ディック50年代の名編。

著者等紹介

ディック,フィリップ・K.[ディック,フィリップK.] [Dick,Philip K.]
アメリカの作家。1928年生まれ。1953年に短編作家として出発し、その後長編を矢つぎばやに発表、「現代で最も重要なSF作家の一人」と呼ばれるまでになる。映画化された作品多数。1982年歿

白石朗[シライシロウ]
1959東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

催涙雨

31
相対主義に敵対する愛国連盟軍の行動原理がジョーンズに付き従うことなのはいいのだが、ジョーンズの内的描写が不足しているため世界を掌中に治めようとした野心の出所が不明瞭で、特に死を予見する一年よりもっと前の期間に関しては目的がよくわからない。また、星間十字軍の失敗ひとつで組織が完全に瓦解することを前提に話が進む点も勇み足に映る。ニーナの行動全体が蓮っ葉に見えるのもこの点に依るところが大きい。シナリオの相互作用もそう強くはなく金星に適応したミュータントのシナリオは楽観的なエンディング以外にほとんど寄与しない。2018/03/18

mak2014

10
あまり相性のよくないディックだが、きちんと読みなおそうと思い初期作品を。一年先の未来を予知できる超能力者ジョーンズ、外界から隔離されているミュータント、宇宙からの謎の飛来物「漂流者」などなど魅力的な道具立てが揃っているが、全体的に散漫。政府の脅威となるジョーンズの能力だが、いま一歩その凄さ怖さがわからない。一番面白く読めたのはジョーンズの過去についての記述。自分の特殊性を知り、能力が目覚めてくる過程。途中、ジョーンズの出番が減ってくると停滞感が漂ってしまう。惜しい一作。2017/01/10

阿部義彦

7
ディックにしては、希望に満ちた結末に、逆に物足りなさを感じてしまいました。初期作品だけに、少し酷ですかね。ミュータントを地球外に逃してやる、のが後の伏線に成っております。やはり物足りなさの、残る読み心地ではあるなあ。ジョーンズがもっと独裁者然、として振舞えば良かったのに、運命が解る故に大人しいのが欲求不満でした。2015/11/10

8番らーめんR

6
1956年作。いつになく読みやすく最後までつっかえる事はなかったが色々なアイディアが消化不良のままで終わってしまったようだ。予知=確定している未来。ジョーンズにとって死とそれに続く肉体と頭脳の腐敗がとほうもない苦しみになる、というところにディックらしさが垣間見られた。2019/01/03

roughfractus02

5
非決定論的なゼロサム・ゲームの世界での権力抗争を描いた前作『偶然世界』の反対の世界を本書は描く。1年先が予見できるジョーンズは、規制の権力者の政策を出し抜いて権力を掌握するが、未来の自分の死を見ることで孤独を強いられる。未来は知れても変えられない。一方、ジョーンズが作る決定論的世界でも異星人は襲来し、人為的に変種となった人類は金星移住を目指す。ジョーンズを暗殺する主人公から見える未来は偶然が多数を占めるが、ジョーンズが見る未来は必然が多数を占める、この違いこそが権力抗争を非ゼロサム化する原因を作るのだ。2020/05/18

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