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創元推理文庫
沈んだ世界

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  • サイズ 文庫判/ページ数 260p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488629014
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

335
太陽プロミネンスの変調によって異常な高温と化した地球。温帯のほとんどの部分は水没している。かろうじて生活圏を持てそうなのはもはや極地のみといった限界状況が描かれる。ニューウェーヴSFと呼ばれたバラードの作品群も、半世紀を経て今やSFの古典となった。バラードが新たに拓いた地平はSFの未開拓地であっただろう。すなわち、インナー・スペースである。それと同時にここには、独特のペシミズムを内包した終末世界がある。文明も、進化も、そうしたすべてを遡行したところにある原質に迫ろうとする試みだろうか。ただし、私には⇒2017/12/25

ケイ

95
地球の温度が上昇し、南極の氷は解け、都市は水没している。温暖化の影響ではない。書かれたのは半世紀前。前提は、太陽の異常な活動によるものだ。かつて都市があった場所では、ビルの上の方が水面から出ている。当時はセンセーショナルなSFだったのかもしれないが、今読むと、色々な矛盾が目につく。しかし、その中で生きている人の倦怠感と自ら研究を続ける研究者の様子になぜか惹かれるものを感じ、これは絶望の物語ではないような気になる。太陽の異常に対しては、人間などなすすべもないのに。2015/12/14

扉のこちら側

79
2016年286冊め。【167/G1000】気候変動により主要都市のほとんどが水に沈んだ近未来。60年代に書かれたということで、科学的には矛盾もあるが、昨今でいう温暖化によるものではなく物理学上の原因によるものらしい。熱帯気候になれば植物や動物の生態系が変わるのはそうだが、爬虫類の描写を読むまで現実にもこういうことが起こりうるとまで想像していなかった。潜水シーンは美しい。2016/04/30

セウテス

53
【ガーディアン必読1000】バラード破滅三部作というらしい。太陽の異常活動により、地球は高温多湿気候となり海水面の上昇が起こった。世界の主要都市は水の中に沈んで、70年程が経った。主人公のケランズは派遣調査隊の一員として、水没した都市の動植物の生態などを調査していた。地球が段々と原始時代の頃の状態に戻って行くにつれて、動植物が先祖帰りを起こすだけではなく、人間の精神にさえも影響を及ぼして行くという考え方は恐いものだ。純粋に冒険を楽しませる作品ではなく、人の内面的な世界への旅立ちがテーマ、考える作品でした。2015/09/27

NAO

49
地殻変動により高温化し、水没していく陸地。それとともに動植物は過去へと逆行し始め、人間もまた・・・。最終的には究極の人間の内面世界のあり方を問うているのだと思うのだが、実際にこのような世界で本当に単独行動などできるのかといったような細かい矛盾点がどうにも気になって仕方なく、あまり作品の世界観に浸ることもできず、共感もできなかった。2016/11/05

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