内容説明
正直な話、読み返すたびに驚かされる。もっと臆面もなく喜びを表現できるように、これが他人の作品だったら、と思うくらいなのだ―著者お気に入りの中編「ここに、そしてイーゼルに」を劈頭に、ヒューゴー/ネビュラ両賞受賞の表題作、地球を追われた少年少女の成長譚「箱」、トイレット・ペイパーに端を発するSF法螺話「“ない”のだった―本当だ!」や、古式ゆかしい教えを今に伝える「フレミス伯父さん」など、全十二編を収録。
著者等紹介
大村美根子[オオムラミネコ]
1947年札幌市生まれ。東京女子大学英米文学科中退
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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伝説の文庫レーベル本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
301
表題作を含めて12の短篇+「はじめに」から構成される。表題作「時間のかかる彫刻」は1970年ネビュラ賞を、翌71年にヒューゴー賞を受賞している。これらの賞の権威と、これまでの受賞作から鑑みれば当然高く評価されているのだが、残念ながら私にはその価値がわからなかった。そもそも、作品の根幹を成す電荷の平衡云々という説明が、この作品のオリジナルなのか、あるいはそうでないのかもわからない。また、盆栽のアイディアも全くピンとこない始末である。これを読んでSFに向かう自信をすっかり失ってしまった。私が求める、心震える⇒2023/06/23
Shun
37
本書とはコロナ禍で足が遠のいていた蔦屋書店にて偶然の出会い。スタージョンの作品が蔦屋限定復刊と目にしては買わなければ。奇想的発想で描かれるスタージョンのSF世界だけでなく、本作は通常の物語も収録した短編集となっています。表題作はヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞の作品。15フィートもある盆栽を育てる男と深い痛みを抱え彷徨いついた女性の物語。著者の幅広い知識と独創性が窺える作品。他にも心を打つ短編が印象深く残った。生きる価値を問う「自殺」や、仲間を結ぶ価値あるものが詰まった「箱」等の作品は生きる糧に成り得る物語。2022/05/10
そうたそ
21
★★☆☆☆ スタージョンの後期の作品を収める短編集。4人目の奥さんとの結婚を機に書きまくったらしい。スタージョンと合わないのか、読み進めるのがしんどい作品が大半。「ここに、そしてイーゼルに」はさっぱり。良かったのは表題作。科学と盆栽でこんなに美しい話を書けてしまうなんて、と驚嘆。トイレットペーパーがミシン目どおりに切れないことから話が広がっていく壮大な法螺話「<ない>のだった――本当だ!」はとにかくバカバカしくて面白かった。好きな人は好きそうだし、読み手を選ぶ作家、作品だという気はした。2020/03/05
人力飛行機
15
私見だが、作家というのは二種類に大別できる。読後に「こんな風に書いてみたい」と思わせる作家と、「絶対ムリだよ!」と思わせる作家の二種類だ。私にとっての前者はコルタサルで、あの圧倒的な意匠に触れると、強烈な創作意欲に捕らわれる。そして後者の代表がスタージョン。「パサディナの感じはビヴァリー・ヒルズと同じではなく、エンシノの趣はグレンデイルとは違うことがわかってくるが、それらを含めたロサンジェルス全体がひとつの香りを放っているわけではない」。こんな文章を読まされて、どうしろと言うのだ!スタージョン、健在なり!2013/07/29
アルビレオ@海峡の街
12
初スタージョン。『ここに、そしてイーゼルに』以外は割とすんなり読めた。『ここに、・・・』は、殿!悪ふざけが過ぎますぞ!!的な、やりたいこと全部やっちゃいました感たっぷりの作品だった。個人的には『箱』『ジョリー、食い違う』『人の心が見抜けた女』がお気に入り。全体的にSF色は薄いが、ついつい読みいってしまう何かがあった。2011/09/14