内容説明
ヴァン・ヘルシングが斃れ、ドラキュラはついに英国全土を征服した。だがその治世下、吸血鬼の娼婦ばかり惨殺される事件が発生。諜報員ボウルガードは、闇の内閣の命を受け、「切り裂きジャック」追跡に乗りだす。一方、ドラキュラとは血統を異にする吸血鬼の美少女、ジュヌヴィエーヴもまた事件を追いはじめるが…いまひとつの世紀末。虚実ないまぜにして贈る、あの名作の総編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
66
ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』でドラキュラが勝利してしまった、というifものかつ、史実に様々なフィクションを織り交ぜた、まさに虚実ないまぜの歴史改変傑作。まず冒頭でドクター・セワードが「ルーシー」と呟くシーン、個人的にメチャ好みで鳥肌もの。中盤は知識が追いつかないこともあり読み進めるのに骨が折れたけれど、終盤は何かもう本当に凄かった！ 博覧強記なだけでなく、確固たる美学を感じさせる作者の吸血鬼愛も凄い。アイデアありきではなく好きが高じて見えてきてしまうストーリーのような、妙な真実味さえある。2023/10/31
星落秋風五丈原
38
巻末に五十二ページにもわたる登場人物事典がある。これが必要なのは本作が 1．史実 2．よく知られているフィクション 3．作品のオリジナル という3つの層から登場人物を満遍なく拾い上げているからだ。人物を知っていればいるほど、彼等の会話や本作での関係性と史実、フィクションとの相違を楽しめる。誰がヴァンパイアになり、誰が人間のままであるかを、想像と比べてみるのも面白い。そもそもメインとなる殺人事件が、この時代の猟奇的殺人といえば詳しい人にはぴんとくるであろうあの事件がモチーフになっている。2018/05/23
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00％完了】
28
*ドラキュラ三部作①*これより語るは暗黒の歴史…｡ヘルシング教授は､実はドラキュラに勝ってなどいなかった…｡そして人間の支配は終わり､吸血鬼による英国統治は幕を開けた｡だがその治世下で吸血鬼惨殺事件が発生！それが､全ての始まりだった…！？――知る人ぞ知る傑作…否､血作吸血鬼小説！ ⇒続き2013/10/10
月世界旅行したい
17
10年以上前から読もうと思って長い間読まなかった本。90年代っぽいなぁと思いながら読んでいたけど90年代の作品なんだから当たり前だ。2016/06/22
三柴ゆよし
16
抱腹絶倒痛快エンタテイメント。ヴァン・ヘルシングが処刑され、ドラキュラが支配する19世紀イギリス。ディオゲネス・クラブの諜報員ボウルガードは、マイクロフト・ホームズの密命により、切り裂きジャックの謎を追うことに。パートナーは四百歳を超える吸血鬼（外見は16歳の少女）ジュヌヴィエーブ。首相がルスヴン卿だったり、ジキル、モロー両博士が仲良く実験してたり、レストレイドが相変わらず頑張ってたりと、楽しすぎるパロディとオマージュの嵐。たとえるなら、イギリス版『魔界転生』といったところか。B級好き必読。2010/01/15
